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続々・承認 6

しかし、氷河の方はそれでは収まらなかった。
「絵梨衣の所に行けないって……、何故だ!」
白羊宮に駆け出そうとするのを、アルデバランが止める。
「天秤宮から上は氷が邪魔をして、先に進めないのです」
星矢にペガサスの神聖衣を渡しながら、ムウが答えた。
氷は宮全体を凍らせてアルデバランの小宇宙を込めた一撃でも砕けず、ムウの力でも駄目だった。
しかも光の魔方陣が影響しているのか、二人の黄金聖闘士は女神エリスから許可を得た秘密の通路も起動しなくなってしまったのである。
ゆえに人馬宮へ行く事は事実上不可能。
「こうなると天秤座の武器で氷を破壊するしか、手段は有りません」
この意見には沙織も賛同する。
「氷河。絵梨衣さんは無事です。
あのエリスが絵梨衣さんに関して色々と被害がでない様に動いて居たのですよ。
私たちの知らない何かを絵梨衣さんに施しているに違い有りません」
だが、氷河はどうしても承知出来ない。
「しかし、絵梨衣が怪我をしている可能性が……」
尚も意見する彼に、沙織はピシャリと言った。
「争いの女神は先手を打つ事に長けているからこそ、常に効果的な方法で争いを引き起こす事が出来るのです。
そんな彼女が絵梨衣さんに関して守りに徹してくれたのです。 心配は要りません」
全ては彼女の想定内の出来事だと言われると、強敵だった女神エリスの怖さを身をもって知っている氷河としては納得せざるを得ない。
悔しい話だが、女神は自分が動けない時から彼女を守ってくれていたのである。
「判った……」
了承の言葉に、アルデバランは掴んでいた氷河の腕を離した。

「あれっ?」
星矢はムウからペガサスの聖衣を受け取ったのは良いが、何故か聖衣が分解しない。
ゆえに装着出来ずに居た。
「どうしたんだ?」
「聖衣のパーツが外れないんだ」
星矢はムウの方を向く。
「何かあったのか?」
その曖昧な問いにムウは苦笑した。
「何かあったといえば、色々とあり過ぎて説明するのが面倒ですが、ペガサスの聖衣に関しては何もやっていません。
貴方のお姉さんに尋ねても構いませんよ」
そんな会話に星華は慌てる。
自分がしがみついた所為でペガサスの聖衣が壊れたのかと思ったからである。
しかし、その意見は闘士全員が否定した。