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承認 4

彼は冥界の大地に十字の印を書くと、そのまま獲物が落ちてくるのを待った。

『!!!!!』

3秒後、その印の上に落ちてきたモノは苦悶の動きをアイアコスに見せながら、少しずつ十字の形に大地に吸い込まれていく。
「鳳凰座の時は少々失敗があったが、オレは蛇を媒体に命を得た奴は確実に葬る!」
タルタロスに戻り行く存在を、彼は薄く笑いながら見ていた。
「地母神ガイア。
このガルーダの宿命と勝負するか?」
ハッキリ言って負けはしないという確信が彼にはあった。
何故ならタルタロスの門から流れ出る妖気には、蛇の気配が濃厚だったからだ。
そしてガルーダの冥衣はその様子に興奮し、力をみなぎらせていた。

「アイアコス!」
背後で名を呼ばれ、彼は振り返る。
「ミーノスか……」
意外な救いの手に、グリフォンの冥闘士は苦笑した。
「まったく、貴方の神出鬼没な行動には驚かされます」
ただ、行方不明だった存在がタイミングよくタルタロスへの門を死守してくれるとは、何か得体のしれない力に操られている様で、ミーノスとしては別な意味で不安を感じない事もない。
しかし目の前の仲間は不敵な笑みを浮かべる。
「なかなか面白い状態になっているじゃないか」
そんな彼の様子に、ミーノスは溜息をついた。
「ギーガスがここから出てこようとしているのに、貴方は楽しそうですね」
するとアイアコスは強く握った拳を、ミーノスの前に出した。
「奴らは蛇を媒体に復活している。
それなら俺は負けない
アイアコスの言葉に、ミーノスはタルタロスの門を改めて見た。


絶対に負けないと豪語する冥闘士がタルタロスへの門の前に居ても、ギガースが行動を起こした以上、今度はこちらが何らかの手を打たないと、逆にアイアコスをこの場に縛りつける事になる。
「とにかく門の修理と同時に、ギガースたちが地上や海に通路を作り上げて逃げていないか確認をしなくてはなりませんね」
ふと、ミーノスの脳裏に荒れた大地と一瞬だけ見かけた石像の様なものの姿が蘇る。
今思えば、あれは本当に石像だったのだろうか?
そう思った途端、彼は居ても立ってもいられなくなった。
(まさかギガースの誰かだったら、自分はとんだ失態を演じた事になる)
「どうした。ミーノス」
アイアコスの声が遠く感じた。
(デスクィーン島へ行かなくては……)
そう思った瞬間、彼はアイアコスに肩を叩かれた。
「ここは俺が死守する。
ミーノスはデスクィーン島へ行け」
心を見透かされたかと思い、彼は絶句してしまう。
「……」
するとガルーダの冥闘士は何か含みのある笑みを浮かべた。
「あのわけの判らない島が、地母神ガイアに利用されていたら面倒だからな」
妖気を地上に存在させ続けているものが何なのか?
アイアコスはある事を思い出して、ワザと口にする。
「そう言えば聞くところによると、鳳凰座の聖闘士の修行地がデスクィーン島らしい。
あの島は化け物の巣窟かもしれないな」
そう言われた途端、グリフォンの冥闘士は眉を顰めた。
「ロクでもない忠告。感謝しますよ」
仲間のイヤそうな表情にアイアコスは声を出して笑った。