彼は冥界の大地に十字の印を書くと、そのまま獲物が落ちてくるのを待った。
『!!!!!』
3秒後、その印の上に落ちてきたモノは苦悶の動きをアイアコスに見せながら、少しずつ十字の形に大地に吸い込まれていく。
「鳳凰座の時は少々失敗があったが、オレは蛇を媒体に命を得た奴は確実に葬る!」 タルタロスに戻り行く存在を、彼は薄く笑いながら見ていた。
「地母神ガイア。 このガルーダの宿命と勝負するか?」 ハッキリ言って負けはしないという確信が彼にはあった。 何故ならタルタロスの門から流れ出る妖気には、蛇の気配が濃厚だったからだ。
そしてガルーダの冥衣はその様子に興奮し、力をみなぎらせていた。
「アイアコス!」 背後で名を呼ばれ、彼は振り返る。 「ミーノスか……」
意外な救いの手に、グリフォンの冥闘士は苦笑した。 「まったく、貴方の神出鬼没な行動には驚かされます」 ただ、行方不明だった存在がタイミングよくタルタロスへの門を死守してくれるとは、何か得体のしれない力に操られている様で、ミーノスとしては別な意味で不安を感じない事もない。 しかし目の前の仲間は不敵な笑みを浮かべる。 「なかなか面白い状態になっているじゃないか」
そんな彼の様子に、ミーノスは溜息をついた。 「ギーガスがここから出てこようとしているのに、貴方は楽しそうですね」 するとアイアコスは強く握った拳を、ミーノスの前に出した。
「奴らは蛇を媒体に復活している。 それなら俺は負けない」 アイアコスの言葉に、ミーノスはタルタロスの門を改めて見た。 |