女神ネメシスとスパルタの王妃レダの復讐。
この事実に気が付いた天上界は、慌てて女神ネメシスに計画を断念する様働きかけるが、既に『思い上がった者達を罰する女神』とは会話が出来る状態ではなかった。
依代であるレダの怒りに女神が支配されていたのである。 しかし、真相を知らない女神アテナに聖域の罪を告げるわけにはいかない。 神々は自らの行動に復讐される事になったのである。
そして非常にやっかいなのは、聖域の失態に対して他の女神達が不信感を持った事。 闘う為の力を持たない彼女達は、地上を守る為に作られた筈の聖域を常に警戒し不審に思っていた。
彼らは人間側の事情を優先する。 彼らの言う正義は、人間の事情を守る為に存在する。 きっと彼らは自分達の正義を守る為に、女神アテナさえも犠牲にするだろう。
そのような者達に地上の生きとし生けるもの達の守護を任せても良いのか?
ギガースから地上を護る為に作られた筈なのに、か弱き女神達から怖がられ女神ネメシスの怒りを買ったのでは、聖域をこのまま維持しても仕方ない。 何故なら太古の女神の血族は、必ずや聖域に滅びの罰を与えるであろうと思われたからだ。 いつか滅ぼされるかもしれない組織など、ギガースとの闘いにおいて、その力を期待する事が出来ない。 計算にも入れられない。 ならば聖域の滅びを計算のうちに入れて、新しく作り直そう判断が神々の間で下されそうになる。
この事により裏の事情を何も告げられなかった女神アテナは、人間達の正義を彼女達に証明すべく行動し始める。 自らを窮地に陥らせて、極限状態に立たされた聖闘士達の行動を神々の前に示した。
あくまで正義を貫き通すか。 それとも愚かな行動する女神に見切りをつけるのか。
女神アテナは何度も聖闘士たちを試す。
時には残酷な方法も使った。 全ては他の女神達の持った不信感を拭う為。 彼女達の信頼を勝ち得てこそ、聖闘士たちは地上を護る者と名実共に認められるのである。
女神アテナは神話の時代から、その信頼を取り戻す為に孤独な闘いを続けていた。 |