そして当の魚座の黄金聖闘士は、不敵な笑みを浮かべて神と対峙していた。
「アフロディーテが……女神アフロディーテの息子?」
デスマスクは話の内容の異様さに、驚いてしまう。
「……という事は、アフロディーテはエロス……」
デスマスクがギリシャ神話上の愛の神の名を言った途端、聖闘士アフロディーテの投げた紅いバラが彼の顔をめがけて飛んできた。
とっさに蟹座の黄金聖闘士はバラの攻撃を避ける。
「危ねーぞ!!」
「煩い!
あれと私を一緒にするな!!」
今にも先にデスマスクを葬り去りそうなアフロディーテの眼差し。
この凄味のある様子に、デスマスクは沈黙した。
「……トロイア側の英雄は死んでいなかったのだな……」
ポリュデウケースは薄く笑う。
「本当に懐かしい……」
だが、彼らを取り巻く空気は緊張に満ちていた。
不死なる神は言葉を続ける。
「そうなるとアンドロメダ島の粛清等は、既に小細工済みだったという事か……」
その問いに魚座の黄金聖闘士は、宿敵の方を向いた。
「一人の男が限りある命を使って、不死である神に対抗しようというのだ。
少々手助けをしたまでだ」
アフロディーテの脳裏に当時の記憶が蘇る。
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