海辺の神殿跡にて、ケフェウス座の白銀聖闘士は愛弟子たちと再会をしていた。
彼らが復活したのはダイダロスの予想通りアンドロメダ島で、何も判らない事態ではあったが弟子達はとにかく聖域へ来てくれたのである。 再び反逆者の弟子と言う汚名を被せられようとも……。
巨人との戦闘の後で痛めつけられた聖域にとって、この援軍の来訪は喜ばしいものだった。 そして愛弟子達の言葉から、ダイダロスは彼らの困惑を知った。
カメレオン座の聖衣がジュネの使っていた部屋に残されているのだが、当の本人の姿が島中を探しても見当たらないと言うのだ。 「そうか……」 弟子達はジュネがどうなったのかを気にしている。
自分達が倒された後、あの島で何が起こったのかが判らないから。 弟子の一人が、ジュネは魚座の黄金聖闘士に捕らえられたままなのかと尋ねた。
「それは無いはずだ」 ダイダロスは簡潔に答える。 「女神アテナの居る今の聖域で、ジュネが何処かに閉じ込められ続けているとは考えにくい」
しかし、一度は反逆者の弟子として討たれた側の彼らには、例え師匠の言葉でも素直に信じられない。 それに聖域の刺客として来た彼の行動は、何処か変だった。
何が変だったのかと言われると、どう説明したらいいのか迷うのだが……。 「とにかく詳しい事は後で幾らでも聞く。 今は聖域の警護にあたってくれ」
巨人族が再び聖域を襲うかもしれない。 そう言われて彼らは引き下がるしかなかった。 今は女神の聖域を守らねばならないからである。 ダイダロスは聖域の中心に向かう愛弟子達に向かって声をかけた。
「多分、十二宮の方へ行けば瞬に会える。 だが、あの子にジュネの事はしばらく黙っているんだ」 瞬は何も知らないから……。 そう言いそうになってダイダロスは言葉を呑み込んだ。
私的な気遣いなど闘士という地位にいる者に対しては不要。 だが今は、神聖衣を持つ闘士には冷静にこの事態を対処して貰わねば、聖域の存続が怪しくなる。
彼の愛弟子達は各々頷くと、その場から立ち去った。
そんな親友とその弟子達の様子を見ていたオルフェは、ある考えに行き当たる。 (まさかダイダロスは別の神に自分の弟子を……)
しかし、あまりにも突拍子もない酷い発想だったので、琴座の聖闘士は親友に尋ねる事が出来なかった。 |