この時、背後で人の声が聞こえたので、彼は何事かと思い振り返る。
そこにはシードラゴンの鱗衣をまとうカノンとペガサスの聖闘士。 そして春麗が居た。 シオンは急いで白羊宮の階段を駆け降りる。
「春麗!」
紫龍は傷だらけの星矢を見て驚き、慌てて春麗に近付いた。 「大丈夫か! 何処か怪我をしてはいないのか」 彼女の肩を掴む。 その剣幕に春麗の方が驚いた。
「大丈夫よ。 海将軍さんたちや星矢さんが助けてくれたから」 彼女はそう言いながら、自分の目の前で怪我をしたシーホースの海将軍の姿を思い出して、半分泣きそうな表情になる。
「どうしたんだ?」 「……紫龍……。あの……、私……」 どう説明して良いのか判らないけど、とにかく言わなくてはという気持ちで春麗は海底神殿で起こった事を説明しようとした。
「あのね……。私の所為でシーホースの……」 そこまで口にした時、彼女はカノンに肩を軽く叩かれる。 「あいつの怪我は、お前の所為ではない」 カノンはそれだけ言うと、シオンの方へ歩き始めた。
「何かあったのか?」 氷河が星矢に話しかける。 星矢は悔しそうな表情で俯いていた。
「そうか。海底神殿にも巨人族が現れたか」
シオンは難しい顔をして腕を組んだ。 「巨人族が、全部で何人居るのかが判らない。 向こうの情報は何一つ、こっちにもたらされていないからな」
カノンは既にクリシュナとカーサから海岸での闘いを聞いている。 そしてオルフェの話の時には、ソレントが少しだけ表情を変えたのを思い出す。
「伝え聞く巨人族全員なのか。それとも一部分なのか。 そして無敵と呼ばれたポルピュリオーンとアルキュオネウスが出てくるのか。 いったいどの巨人がそいつらかのか。
何一つ判っていない」 判っているのはポリュボーテースが海底神殿で倒された事と、聖域の海岸で謎の巨人が倒された事だけである。 だが、情報収集をのんびりとやっている場合ではない。
何処から手をつけた方が良いのか判らない事態に、二人はしばし沈黙してしまった。 その時、広場に光りの魔方陣が現れ、その中からハインシュタインに行っていたエリス達が現れたのだった。
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