雨の止んだ空を、氷河と紫龍は見上げる。
風が吹いて今まで厚く立ち込めていた雲が動き始め、その切れ間から太陽の光りが差し込んでいた。 その光景はとても美しく、そして荘厳だった。
まるでこれから天上界が何か仕出かすのではないかと思えるくらいに……。
しかし、天界が動き出したと言う気配は未だにない。 そしてポリュデウケースの策略により捕らわれた黄金聖闘士たち。
凍りつく十二の黄金宮。海岸でのギガースとの戦闘。 次々と大問題が聖域に降り掛かる。 報告に来た白銀聖闘士たちに幾つかの命令を下すと、シオンは白羊宮の入り口に立ち、奥の方を厳しい眼差
しで見つめた。 (……これでは、奴の思うつぼだな……) 彼は自分の両手を見ると、固く拳を握った。 |