冥界とタルタロスの位置関係は地上と天上界くらい離れており、そもそもタルタロスに落とされた存在は既に最終判
決が下った者達である。 故に繋がっている門はギガースたちを外へ出さない様に何重にも罠がしかけられていた。 しかし、あまりにも完璧な密閉空間にしてしまうと、逆に冥界側から最終判決をくだされた罪人を、そこへ落とす事が
不可能になってしまう。 その為、冥界側から落とす為の場所と言うものが設定されているのだが……。
岩以外何も無い冥界の荒野。 見渡す限り同じ風景。
そこにサイクロプスのギガントは、やって来た。 自らの内側から聞こえる声。 その声は、この場所で封印を解けと言う。 「封印……」
既に、それをどうすれば解けるかは判っていた。 必殺技であるビック・ナックルで、冥界の地に拳を叩きつける。 「……これだ……」 彼は抉られた大地から、太い鎖が覗いている事に気が付いた。
「これを引っ張れば、門の第一の封印が解ける……」 そう呟きながら鎖を持った時、誰かが彼の肩を掴んだ。
「ギガント。まだ正気ではなかった様だな……」
そこに立っていたのは、ハーピーのバレンタイン。 ギガントの様子が、あっさりと平常に戻った事を逆に怪しんで、彼の後を付いてきたのである。 |