だが、絵梨衣の心を乱す最大の原因は、自分の存在により氷河が危険に曝されるかもしれないと言う事。
ナターシャは傍にいる事を許してくれたが、自分の所為で再び氷河に何かあったらと思うと、このまま消えてしまいたかった。 「……やっぱり、私は居てはいけない人間なのね……」
その呟きに、カミュは抱き寄せていた手で彼女の肩を軽く叩く。 そして、静かに話しかけたのだった。 「……大丈夫。落ち着くんだ。
君に怪我などさせない」 だが、尚も光の攻撃は続いている。 「でも、カミュさんに何かあったら氷河さんが悲しむわ!」 懐かしい弟子の名前に、カミュは驚く。
「氷河を知っているのか!」 絵梨衣は目に涙を浮かべながら頷いた。 「ならば氷河の話が聞きたい。 今、決着をつけるから待っていてくれ」
彼の言葉に絵梨衣は驚く。 このような状態を、目の前にいる人物は特に気にしていなさそうなのだ。 ぶつかり合う光とカミュの蒼い凍気は、絵梨衣の目から見ても巨大な力を持った濁流の様な印象を与えると言うのに……。
「そう言えば名前を聞いていないな」 そう尋ねられた時、絵梨衣は迷わず自分の名を口にした。 「エリイか。覚えておこう」 そう言った途端、襲いかかっていた光が弱まったのを彼は知る。
カミュはそのまま素早く前に出ると、自分が把握していた敵の位置にオーロラ・エクスキューションを放った。 |