レダ。
金色の神を持つ神が口にした名前と同じ名前を言われて、絵梨衣は緊張のあまり息苦しさを感じた。 これは偶然なのだろうか? それとも、何かしらの必然が存在するのだろうか?
恋人の神聖衣は、絵梨衣のことを見上げていた。
「アフロディーテ。無事だったのか!」 カミュは水晶の柱に向かって呼びかける。
『一応な。 それより、カミュに頼みがある』 「何だ?」 『そこにいる女性を保護してくれ』 アフロディーテの予想外の依頼に、カミュは黒マントの女性の方を向いた。
彼女はカミュに振り向かれて、思わず後ずさりする。 「あの女性に何かあるのか?」 カミュは絵梨衣の方を見ながら、話を続ける。 そんなに彼女との距離が離れていなかったので、まだ駆け寄る必要がないと判断したからである。
『切り札になるかもしれない。 とにかく私は、これからヤツに会ってくる。 頼んだぞ』 カミュはこの時、アフロディーテがこの場から離れた事を知った。
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