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条件 7

そしてカノンは彼らに次々と命令を出す。
ギガースたちの動向を探れ。
海の様子を調べろ。
そしてこの一件により、海の底で封じられているであろう他の存在が目覚めていないか。
とにかく広大な海を守護する彼らには、やらねばならない事がとてつもなく多かった。
「リュムナデスとクリュサオールについては、奴らが戻ってきた時に速やかに今の事態を伝えられるようにしろ。
聖域と冥界に関しては、俺が動く」
ギガースとの闘いは既に始まっており、しかも向こうは実体化の一歩手前まで力を蓄えている。
筆頭将軍である自分が動かなくては、余計な手間がかかるのは分かりきっていた。

ソレントは部下の海闘士に幾つかの指令を出す為に神殿の外へ向かう。
(……いくら女手が無いとはいえ、春麗さんを何時までもここに居させてはいけない)
だが、そう考える反面、春麗に居て貰いたい気持ちはある。
(女神テティスが話を聞くのは、やはり彼女だけみたいだ……)
二人の海将軍を何処かへ飛ばし、海皇ポセイドンに対して怒りを持ち続けている女神である。
自分達の味方をする気は無いだろう。
では、今彼女に押さえ込まれているであろう海闘士の方のテティスはどうなってしまうのか?
女神エリスは依代である少女との同化が進まないように、巨人族に封印とも言うべき飾りを作らせた。
もしかして長く同化していると言うのは、人間側に負担がかかるのではないのだろうか?
(……まさかジュリアン様も……)
一瞬、足がとまる。
だが、今の自分にはどうする事も出来ない。
彼は用事を急いで済ませると、春麗達の居る部屋を目指して駆け出した。

神殿全体が慌ただしくなっていた時、別の部屋では星矢が落ち着きなくキョロキョロしていた。
本当なら直ぐさま海底神殿から春麗を連れ出すべきなのかもしれないが、海将軍が春麗に対してテティスの傍にしばらく居て欲しいと依頼した。
彼女は今、目を覚まさない海闘士に付き添っている。
わけを聞くと、彼女は女神テティスに良くして貰った恩があるので、願わくば海闘士の中で眠っているであろう女神の力になりたいと言う。
人間である自分にどれ程の事が出来るかは判らないけど……と言った春麗の気持ちは、少しだけ理解出来る。
そしてそこまで言われると、星矢としては先程のギガースとの戦闘で聖域の事が凄く心配でも、春麗を混乱状態の海底神殿に置いて一人で戻るわけにはいかない。
何よりもエリスが自分をここへ寄越した理由が判らない。

『お前の方が効果的だからな』

何が効果的なのか?
理由は自ずと判ると言われても、星矢には何が判るのか見当がつかなかった。
それ故に彼は、聖域に帰る事も次に何をするのかというタイミングも逃していた。