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条件 6

海底神殿では崩壊した中庭の中心で、海皇ポセイドンが三叉の戟を持ったまま海上から差し込む光を見上げて いた。
既に中庭は元の静けさを取り戻していたが、床も壁も瓦礫と化していた。
『……シードラゴン』
「ここに居ります……」
カノンは彼の背後に移動すると、片膝を付いて頭を下げた。
ソレントは春麗を床に立たせ、アイザックは今にも倒れそうなバイアンに肩を貸す。 テティスはイオに体を支えられていたが、目覚める気配はなかった。
星矢はそのまま静かに立っている。
『どうやらガイアはギガースたちに力を与えたようだ。
奴らがこの世界へやって来るのを、何としても阻止しろ。
この間のような無様な真似は二度とするな』
そしてポセイドンは全員にこの場から退室するよう命じる。
ソレントは一瞬、何かを言いかけたがそのまま頭を下げた。
アイザックとバイアン、そしてイオもまた同じように礼をした。

ポセイドンの言葉を、どう受け取っていいのか。 別室にてカノンは少々困惑していた。
「海闘士の筆頭将軍である貴方が、何を困ったような顔をしているのですか!」
ソレントは苛々した様子で怒鳴る。
「しかし……」
確かに自分は海闘士として生きる事を選んだ。
だが、このようにすんなりと受け入れられると言う事を予測していなかったので、海皇の言葉をそのま ま理解していいのか躊躇う。
そこへイオが部屋にやって来た。
「一応、テティスは隣の部屋に寝かせておいた。
客人ではあるのだが、シュンレイさんに見て貰っている。ペガサスの聖闘士も一緒だ。
バイアンには同じ部屋に居るよう言っておいた。
何かあっても彼女たちの安全だけは確保してある
だから心配するなと、イオは言葉を続ける。
「……」
カノンは厳しい眼差しを三名の海将軍に向ける。
「嵐に巻き込まれるぞ……」
するとソレントがすぐさまツッコミを入れた。
「さっきのだって嵐です」
イオは思わず笑ってしまう。
そしてアイザックが一歩前に出た。
「シードラゴン。 我々は貴方以外の筆頭将軍はいらない」
その言葉にカノンの目が見開く。
「言葉にしないと判らないのか?
傷だらけでシードラゴンの命令に従ったシーホースが泣くぞ」
やれやれと言った表情でイオは文句を言う。
カノンは視線を隣の部屋の方に向けた後、三人の海将軍の顔を見た。
「……ならばコキ使うぞ。 後で人使いが荒い等と文句を言うなよ」
ソレントが覚悟していると言いたげな眼差しをする。
「望む所です」
アイザックとイオも首を縦に振った。