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魔星 4

そして、異質な闇の中で彼らはある者たちの姿を見る。
同じように自分たちを迫害した神々に復讐の炎を燃やすギガースたち。
『この者たちが出れば、冥界は滅びる』
裏切り者も、自分たちを認めない者たちも。
だが、身にまとっている冥衣がギガースの存在に警戒する。
自分に与えられた冥闘士の証たる冥衣が……。
人である事を止めた筈なのに、それでも同じように集うた他の冥闘士たちは仲間だと思う。

深い闇の色の闘衣をまとう冥界の守護者たち。

『冥界の秩序を守り、維持し、タルタロスから悪しき者たちを出さぬ為に、彼らは……、我等は存在する。
ならば冥衣よ、我を滅ぼそうとも冥界を守る為に闘え。
愚かな自分の身体を存分に使うがいい。 お前とは一心同体だったはずなのだから……』

闇に捕らわれていた彼らが願った時、誰かが再び囁いた。
冥界を愚弄する言葉を……。
その時彼らは自分たちを惑わせた存在を見た。


ラダマンティスの右腕全体に激痛が走る。
だが、彼は決して短剣を落とさなかった。
黒い短剣から黒い煙のようなものが立ち上る。
「ハーデス様。私に力をお貸し下さい」
苦痛に歪む表情で短剣を構えた次の瞬間、彼は絶叫した。
短剣が姿を変えて、ラダマンティスの右腕と同化したのである。
「ラダマンティス!」
しかし、パンドラは動くことが出来ない。
「ラダマンティス様!」
この現象に、その場にいた冥闘士たちも驚く。
だが、エリスだけ直ぐに冷静さを取り戻した。
(冥王。何をする気だ)
今、三巨頭の一人が、神の力をその身に取り込んで滅びようとしている。

「この先には絶対に行かせない……」
ラダマンティスは激痛に耐えながら、闇を睨み付けた。
「……お前たちもまた誇り高い冥闘士ならば、闘え!」
そして彼は必殺技であるグレイテストコーションを、 ハーデス城を侵蝕しつづける闇と部下たちに向かって放ったのである。