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続・露顕 3

宮の入り口で説教するのもみっともない話だと思ったらしく、双魚宮の主は二人の聖闘士を奥の部屋へ案内した。
ミロは心の中で、拙い事になったと思った。逃げられない事が予測出来たからである。
でも、シュラの時の様な対応は不可能な事も判った。
ここはアフロディーテのテリトリー内であり、女神アテナの居る神殿と教皇の間へ続く道の最期の砦である。
相手を逃がさない為の仕掛けは見えていないだけで、縦横無尽に張りめぐらされているであろう事は容易に想像がついた。

「まったく、人の宮の前で騒ぐな! 黄金聖闘士が慌てるなんて前代未聞だ」
奥の部屋に通されて開口一番に嫌味を言われたが、ミロは反論する気にはなれなかった。 確かに聖域の最高位である黄金聖闘士にあるまじき行為に違いない。
「あの……、本をありがとうございました」
ダイダロスはテーブルの上に大切に持っていた本を差し出す。
「それでは、私はこれで失礼致します」
何か込み入った話でもするのだろうと考えた白銀聖闘士は、その場を辞退しようとしたが、逆にアフロディーテに引き止められる。
「ミロはダイダロスに何かを聞きたかったのだろう。 私が許すから、ここで聞くがいい」
半分脅迫染みた言い方に、ミロは蛇に睨まれたカエルのような状態になった。
(言えるわけないだろ!!)
どうやって誤魔化すか。
しかし、もともと策謀家ではないので、上手い言い訳が思いつかない。
部屋には沈黙が漂い、ミロは一人で悩んでいた。
すると、アフロディーテは何か呆れ返った様子で、彼に話しかけた。
「この宮の主である私が許したんだ。 どんな内容の話でも外には洩らさないし、こちらから喋らせたのだ。
その話に関わる後のトラブルの責任は多少なりとも負うつもりだ
意外な言葉にミロとダイダロスは驚く。
「だからダイダロスも、この男の質問には誠実に答えてやってくれ」
アフロディーテの依頼に、ケフェウス星座のダイダロスは頷く。
「……何でトラブルだって、判った?」
「黄金聖闘士が慌た様子で白銀聖闘士を追いかけてきたのだ。
ファンだったから等と言う馬鹿げた理由だったら殴るぞ」
本気なのか冗談なのか判らない言葉だったが、ミロは思わず苦笑した。
どんなに隠そうとしても、多分他の人たちには自分の普通でない行動で、何か悩みを持っている事がバレバレだったのだ。
「実は……」
ミロは腹を決めて、昨日の出来事を話し始めた。

「なるほど……」
話を聞き終えて、アフロディーテはそう呟いた後、深い溜息をついた。
ミロは魚座の黄金聖闘士の態度に、自分は取り返しのつかない失態を冒したのだと思った。
しかし、彼は
「馬鹿か。お前は……」
と言ったまま、そっぽを向く。
「???」