☆ |
森に柔らかな陽差しが降り注ぐ。 |
ハーデス城の地下牢は、妖気がその濃度を増してゆく。 その扉がいつ壊されるのか。 冥闘士たちは仲間を倒さねばならないと言う瞬間が来ない事を願っていた。 そして牢が静かになったので確認の為に牢を開けた瞬間、闇があふれ出す。 「臨界点を超えたらしいな」 エリスの言葉に、その場にいた冥闘士たちは周囲を見回す。 そして彼らの冥衣は、おのおの光を放ち始めた。 「パンドラ様、ご安心下さい。 この命に代えても、お守り致します」 ラダマンティスは彼女を下ろす。 「ラダマンティス……」 彼女はワイバーンの冥闘士の腕を、ぎゅっと掴む。 闘士ではない彼女でも、城を取り巻く妖気の気配に寒けを感じていた。 「パンドラ、冥闘士たちから離れたほうが良いぞ」 エリスは意地の悪い笑みを浮かべる。暗に彼らとて奇怪しくなる可能性があると言っているのだ。 「……」 誇りを傷つけられて冥闘士たちは怒りの表情になるが、実際問題として狂わない可能性はゼロとは言えない。 だが、パンドラはラダマンティスから離れようとはしなかった。 「彼らは絶対に己を見失わない! だから大丈夫だ」 エリスの暴言に憤慨したらしく、パンドラは声を荒らげる。 冥闘士たちは全員、あっけにとられたかのように自分たちの女主人を見た。 「……では、その信頼に答えましょう」 ミーノスは廊下の奥に視線を移す。 そこは闇が溢れ、何名かの変わり果てた仲間が立っていた。 |