海底神殿の中庭は一見すると、ぶつかり合う力が奇妙なバランスを保っていたが、これではどちらも身動きが取れない。 自分たちの主がどう動くのかも判らないし、何よりも攻撃の決定打がない。
だが、早く対処しなければ、一般人である春麗の身が危険だった。
『……海皇様。予言は従い続ければ確かに成就しますが、それでは何も変わりません』
いきなり聞こえてくる依代の声に、ポセイドンは驚く。
『……私は世界中を旅して、運命に立ち向かう人々を見てきました。
例え人間は死すべき存在でも、どう生きるかは本人に委ねられています』
『だからどうしたと言うのだ……』
『予言の先に待っているものは、どのようにでも変えられるとお思いになりませんか?』
ポセイドンはジュリアンの言葉に沈黙する。 |