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続・嫉妬 5

春麗はテティスの腕にしがみついて、必死になって彼女に呼びかける。
「テティスさん。お願いだから話を聞いて!
あの時、海闘士の皆さん、泣いていたわ。
海将軍さんたちも、きっと同じ気持ちだったと思うの。
お願いだから、闘士の皆さんの話も聞いてあげて!」
春麗の言葉に鱗衣をまとう少女は目を見開く。
そして彼女は目を潤ませながら、言葉を紡ぐ。

では何故、海将軍たちも海闘士たちも、あの子があんな目に遭わされた時に動いてくれなかったの?

当時、女神パラスが亡くなったとされた時、海将軍も海闘士たちも誰一人として、聖域を攻撃する事はしなかった。
それが逆に、女神パラスを可愛がっていた海に属する女神たちの怒りと顰蹙を買ったのである。
この一件で海を守る任務に付きながらも、彼らは他の海に属する神々の援護や協力を失った。
例え海の支配者が海皇だとしても、人間である海闘士たちは他の海の神々に力を貸してくれる様に依頼出来るわけがない。
それ故に海闘士たちは、ほぼ孤立無援状態で海を守りつづける事になったのである。


同じ頃、彼らは海につながる抜け道を見つけた。
混沌が渦巻く場所。
多分、何もかもが混在しているのだろう。
道は少々狭いが、無理矢理こじ開ければ何とかなるだろうと、彼らは単純に考えた。


カノンと星矢が海底神殿へ入っていったのとほぼ同時に、何かの影が壁や床に現れながら奥へと突き進む。
一気に神殿内の空気が重くなる。

その重々しい気配にポセイドンは右手を前に出す。
少女の手の中にあった三叉の戟は、再び海皇の手に戻った。
『敵が来る。 全員、戦闘体制を取れ』
その言葉が終わるや否や、二人の少女の背後に黒い巨体が半透明の状態で出現したのである。