春麗はテティスの腕にしがみついて、必死になって彼女に呼びかける。 「テティスさん。お願いだから話を聞いて! あの時、海闘士の皆さん、泣いていたわ。
海将軍さんたちも、きっと同じ気持ちだったと思うの。 お願いだから、闘士の皆さんの話も聞いてあげて!」 春麗の言葉に鱗衣をまとう少女は目を見開く。
そして彼女は目を潤ませながら、言葉を紡ぐ。
『では何故、海将軍たちも海闘士たちも、あの子があんな目に遭わされた時に動いてくれなかったの?』
当時、女神パラスが亡くなったとされた時、海将軍も海闘士たちも誰一人として、聖域を攻撃する事はしなかった。 それが逆に、女神パラスを可愛がっていた海に属する女神たちの怒りと顰蹙を買ったのである。
この一件で海を守る任務に付きながらも、彼らは他の海に属する神々の援護や協力を失った。 例え海の支配者が海皇だとしても、人間である海闘士たちは他の海の神々に力を貸してくれる様に依頼出来るわけがない。
それ故に海闘士たちは、ほぼ孤立無援状態で海を守りつづける事になったのである。 |