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決断 5

「エリス。俺たちは何をすれば良いんだ?」
星矢が我慢できずに口を挟む。
「……そうだな、ペガサスは神聖衣が無いが海底神殿へ行け」
「えっ? 紫龍じゃなくて俺??」
「そうだ。 お前の方が効果的だからな」
争いの女神の言葉は謎に満ちていたが、問いただす事は出来なかった。
「理由は自ずと判る。迷っている暇は無い」
そう突っぱねられたからである。 エリスは星矢から視線を逸らし、今度はカノンの方を見た。
「さて、シードラゴン。お前にはこの場で決断してもらわねばならない」
「……」
「兄を追い詰め滅ぼし、双子座の黄金聖闘士となるのか。
それとも誇り高き海の竜として、海皇とアテナの闘争を鎮める役目を担うのか。
それによって私も行動を変えねばならない」
これは彼がどの立場で動くかによって、状況が変わると言われているも同然だった。
そしてカノンも何かを決意したらしい。 力強い眼差しでエリスを見る。
「エリス。俺が双子座の黄金聖闘士であるのは、あの聖戦の時だけだ。
もう俺の役目は終わっている」
カノンは直ぐにシードラゴンの鱗衣をまとう。
「さぁ、選んだぞ。エリス」
するとエリスは静かに告げた。
「ならば今すぐ、ペガサスと共に海底神殿に行け。
お前は女神テティスに会わねばならない。
ぐずぐずしていると、テティスはシュンレイと会話した後そのまま帰ってしまうぞ」
エリスがこれ以上詳しいことを言う気が無いことは、カノンも経験的に判った。
彼はそのまま海底神殿に向かうべく、走り出した。 星矢がその後を追う。
「それからフェニックスとアンドロメダは、金の娘と一緒にパンドラの所へ行ってもらう。
教皇と他の聖闘士は聖域に居てくれ。
海底神殿の方で騒ぎが起こっても、静観するんだ。絶対に動くな。
我々はパンドラの用事が終わったら、直ぐに戻る」
その時、デスマスクがエスメラルダの方に近付いた。
「お嬢ちゃん」
彼は彼女の顔をじっと見た。
「は、はい……」
「人の話を聞くのは良いが、絶対に死んだ人間の声は聞くなよ」
「えっ?」
しかし、彼はそれ以上は何も言わずに、軽く手を振って立ち去った。シャイナがその後を追う。
シュラは何も言わずに歩きだした。