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衝撃 6

「シーホース。どうしたんだ!」
カノンたちは広場に現れたバイアンに驚く。
星矢は以前対戦したことのある男の登場に目を丸くした。
その後をエスメラルダを連れた一輝と瞬がやってきた。
エスメラルダは一輝から離れると、春麗の方へ駆け寄る。
「エスメラルダさん。一輝さんに会えたのね」
「はい」
二人の少女は少しだけ嬉しそうに微笑む。
エリスはデスクィーン島で見つけた少女の素顔を見て、眉を顰めた。

バイアンが十二宮へやってきたのは、単に海将軍たちの居場所を知らないので、カノンか他の黄金聖闘士にでも聞こうかと思ったからである。
ただ、海将軍が物凄い勢いで十二宮を目指しているのは、今の段階の聖域では正直言ってどんな誤解を引き起こすか判らない。 それ故、瞬が一緒にいるという面倒な手順を踏むことになった。
そして一輝は突然オルフェから、エスメラルダを春麗の所へ連れて行って欲しいと言われた。
他の事なら無視もしようがあったが、彼もこの混乱状態の聖域でエスメラルダの安全を確保しないうちにデスクィーン島へは行けない。
実際エスメラルダには帰る家は無い。
ならば一緒に来た春麗と行動を共にさせた方が良いと、彼は考えた。

「スキュラ。直ぐに海底神殿へ戻ってくれ」
「何があった」
「クリュサオルとリュムナデスがテティスに似た女に捕らわれた」
これにはカノンとソレントも無視する事が出来ず、無理矢理バイアンにその時の状態を聞き出す。
カノンはバイアンの説明を聞いていて、自分が幾度か夢で見た女を思い出した。
だが、彼が最も気になったのは別の事だった。
「まさかサガが海底神殿に来たのか!」
二人の海将軍が異空間に呑み込まれたのである。カノンは咄嗟にそちらの方を考えた。
しかし、バイアンはそれを否定する。
そしてその意見に、エリスが同意した。
「多分、それは海の女神テティスだろう。 そういう事をやるのは、あの女神しかいないからな」
エリスは腕を組んだ。 知っている名前に春麗は、エリスの服を軽く引っ張る。
「テティスさん。あの後戻られたのですね」
彼女はほっと胸をなで下ろす。
「シュンレイが帰った後に戻った。 でも、ここにも現れるという事は、厳密には空間が歪んでいるのだろう。
元に戻れば二度と会う事はあるまい。話をするのなら今のうちだぞ」
争いの女神の提案に、春麗はエスメラルダの方を見る。