エリスが白羊宮の入り口に現れた時、星矢は広場にやってきた二人の女性聖闘士を見つけ、慌てて駆け寄る。 「魔鈴さん。シャイナさん」 その声に他の闘士たちは二人の存在に気がついたが、エリスだけは別な方を見て、その表情を固くした。
「まさか……、シュンレイか」 争いの女神の呟きに、傍にいた闘士たち全員が驚く。 そして彼女は春麗の方へ駆けだした。 向こうでも、春麗がエリスの方へ走ってきた。
「何でエリスが、あの小娘を知っているんだ!」 デスマスクは氷河を問い詰めるが、氷河は表情を変えずに反論した。 「彼女と絵梨衣は、エリス絡みの事件の時には会っていない」
「ということは、お前たちとは関係ないところで、あいつらは知り合っていたのか……」 カノンも意外な繋がりに困惑してしまう。 五老峰で少しだけ言葉を交わした少女は、エリスの事に関しては何も言ってないのだ。
こちらも尋ねなかったのだから、仕方ないと言えばそうなのだが……。 「向こうも、何が何だか判らないという顔をしているぞ」 アルデバランはそう言ってエリスと春麗の方へ歩きだす。
そして今度のことには、さすがのシオンも驚くしかなかった。
「これはどういう事だ!」 紫龍は春麗がエリスの事を知っているという事に驚きを隠せない。
「ムウ。お前の妹分は何者だ?」 シュラに尋ねられたが、ムウにも判るわけがない。 「詳しい事はあの子が話してくれるのを待つしかありませんね。
女の子というのは、何かしら秘密を持っているものです」 そんな一般的な秘密というレベルではないのだが、煩い事を言うと、どんな必殺技を使われるか判らない。
多分、紫龍とは別の意味でムウもまた動揺しているのだから……。 「何でこうも土壇場で、色々な事が起こるんですかねぇ」 ムウの呟きに貴鬼が首を傾げた。
そして星矢の方では、彼の開口一番の言葉にシャイナが激昂していた。 「シャイナさん、マスクが……」 「こんな緊急時に、些細なことを気にするんじゃないよ。
こっちは復活されたという教皇に、早く黒の聖域の事を伝えなきゃならないんだ」 いきなり怒鳴られて、星矢は面食らってしまう。 「星矢、黒の聖域の詳しい場所が判ったんだよ」
「ええっ!」 「とにかく、まずは教皇に報告だ」 星矢はシャイナに自分の肩を貸す。 「星矢、聖戦の時はよく頑張ったな」 シャイナは肩を貸して貰いながら、その手で彼の頭をクシャクシャにする。
「シャイナさん……」 「まったく。お前はどれ程の男になるんだろうね」 「まだまだ、ヒヨコだよ」 魔鈴の即答にシャイナは小さく笑い、星矢は苦笑いをした。
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