(あぁ、またあの夢だ……)
昔から何度か見ていた同じ場面。ジュリアンは海辺で遊ぶ少女たちを見る。 一人はグラード財団の総帥である少女に似ており、もう一人は美穂に似ていた。 今まで夢は夢として何の意味も感じずにいたが、美穂と出会い、謎の青年の攻撃的な行動を目の当たりにして、ジュリアンは全ての元凶はこの場面に隠されているのではないかと思えた。
そして彼は背後に気配を感じる。 もしかすると自分たちは昔から一緒に、この風景を見ていたのかもしれない。 ジュリアンはその気配の主に、心当たりがあった。
「これは貴方の見ていた風景なのですね」 ジュリアンは自分の後方にいる蒼い光に話しかける。 蒼い光はジュリアンの周りを激しく動き回る。
「そんなに動揺しなくてもいいです。 別に海皇様が何を見ようと、咎めるつもりはありませんから」 ジュリアンはようやく、この夢が本当に神代のものである事を知った。
それも自分の家の守護神である海皇の見ていた風景。 蒼い光はますます激しい動きを見せて、いきなりジュリアンの身体に入り込む。 その時、彼らの周囲の光景は全てが灰色に変わった。
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