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運命の糸 4

そしてシオンの異様な雰囲気に、カノンが警戒をしていた。
「あれが老師の養い子か?」
話には聞いていたが、本人を見るのは初めてなアルデバランは、興味深げにデスマスクに尋ねる。
「奴は侮れない小娘だ」
うっかり暴言を吐いた後、デスマスクは殺気を感じた。
(しまった!)
殺気の主は確認しなくても判る。
今、本人を見たらきっと物凄い形相だろう。
ソレントは聖域の教皇が、黄金聖闘士に対して冷徹な眼差しを向けていることに感心していた。
(やはり統率力を維持する為には、これくらいの厳しさは必要なんだろう)
他の黄金聖闘士たちが聞いたら、文句の一つも言いたくなる考えだった。
そこへ白羊宮の奥から足音が聞こえる。
「エリス!」
争いの女神が戻ってきたのである。

海辺の神殿跡は今や隕石が落ちたかの様に、大地が抉られていた。
横たわっている男性が一人、その傍に一人の男性がいた。
「ダイダロス!」
オルフェは寝かされている友人に駆け寄った。
彼の白銀聖衣はヒビが入り、所々欠けている。
「ダイダロスは気を失っているだけだ。
それよりオルフェ。今まで何処にいた」
傍にいたのは巨犬座のシリウス。
だが、オルフェは答えない。
シリウスもそれ以上は尋ねなかった。
返事がない事で、極秘の任務の可能性を考えたからである。
「何があったんだ?」
「判らん。俺も今来た所だ。 あの小僧にここにいて欲しいと頼まれただけだ」
シリウスは瞬の方を見た。
「ところであの娘は何だ? あの小僧の妹か?」
そう言われても奇怪しくないほど、瞬とエスメラルダは似ている。
「縁のある存在だろう」
オルフェはそう答えるに留まった。