「この攻撃があと3日も続けば、この地上は草木一本生えない大地に変わる。
それを阻止する為にはこの聖域を消さなくてはならない。 多分、昼頃には大神ゼウスの命を受けた神が滅ぼしにかかるだろう。 もしかすると冥王自ら、動くかもしれない。
地母神ガイア、穀物の女神であり彼ら三兄弟の姉であるデメテル、そしてそのデメテルの娘であり冥王の妻であるペルセポネ、他大勢の女神たちを守る為には、それしかないからな」
「それでは、アテナは……」 「今、大地の女神たちが受けていた攻撃を一身に引き受けている。 同時に、薬草や香草を使って大地の女神たちの傷を癒す術を施しておいたが、気休めにしかならない。
そして浄化の術は大地を清めるのみで女神たちを癒す事は出来ないから、最悪、浄化の術が完成しても彼女たちが再起不能にまで傷つけば、この地上は終わりだ」 エリスの言葉に思わず星矢が前に出る。
「エリス。どうやったら沙織さんや大地の女神たちを助ける事が出来るんだ!」 彼女は何か挑戦的な眼差しで、星矢を見る。 「この術を独自に作り上げたポリュデウケースに聞くしかあるまい。
だが、奴は既にこの世界から離れた場所へ行ってしまったかもしれないぞ」 あまりにも消極的な話であった。 「何とかならないのか!」 星矢は見えない壁を叩いた。
すると争いの女神は薄く笑う。 「お前たちの手に負える問題ではないが、この騒ぎを早急に終わらせる方法が無いわけではない」 だが、彼女の口調には冷たさがあった。
「それは何だ」 シオンは静かに尋ねる。 「いくら妖気が強力とはいえ、無限に攻撃し続ける事は出来ない。 この十二宮自体を媒体に、強制的に妖気をこの地の上空へ引きずり出して消滅させる。
だが、それにはアテナ一人では負荷が大きい。 私の依代とペガサスの姉に、巫女役をやってもらう。 先程の騒ぎで、依代とペガサスの姉は妖気に対しての耐性が高い事が判っているからな」
誰もが何も言えなかった。 「だが、アテナはともかく二人は普通の人間だ。 妖気を消滅させる前に体力が尽きれば二人は死ぬ事になるし、アテナも只では済まないだろう」
星矢は驚きのあまり、硬直してしまう。 氷河もまた絵梨衣の身体を自分に寄せた。 |