「この部屋だ!」
双児宮では星矢と瞬は警戒しながら、部屋を覗き込む。足元に水溜まりがあったらしく、小さな音がした。 そして部屋の奥には、一体の鱗衣が置かれている。 「カノンの鱗衣だ……」
闇の中で光る鱗衣を見た時、星矢は何かを思い出しそうになる。
『シードラゴンはね、ずっと待っているの……』
女の子の声が聞こえたような気がして、星矢は周囲を見回す。 「星矢、何?」 「いや……、何でもない……」 とても懐かしい声だったと思う。
緊急時だというのに、彼は急に美穂の事を思い出す。 そして頭を動かして、その考えを振り払おうとする。 星矢は瞬に今の自分の気持ちを悟られたくなくて、急いで部屋を出ようとした時、再び鱗衣が青い光を放った。
今度の光は先程とは比べ物にならないくらいの、強さと衝撃を伴っていた。 |