その頃星矢たちは、双児宮を通り抜けようとしていた。 だが、宮の中は一寸先が闇という状態だった。 「また、異空間へ繋がっているのか?」 星矢は思わず呟く。
彼らの脳裏に十二宮突破の時の記憶が蘇る。 「様子が違うみたいだ……」 瞬は辺りを見回す。 その時、ダイダロスがうめき声を漏らした。
「これは……」 何も無いと思っていたのだが、彼の聖衣のみ黒い液体が付きはじめたのである。 彼の白銀聖衣のみ輝きを失いつつあった。星矢たちの神聖衣にはそんなものは付いていない。
彼は瞬時に判断して、沙織を一輝に渡す。 「どうやら私は此処までのようだ。 三人とも先へ進んでくれ」 「ダイダロス先生!」 「瞬。ペガサス。フェニックス。
今は闘士としての名誉よりも、アテナが無事である事を最優先に考えるんだ」 ダイダロスがそう行った直後、双児宮の奥で青い光が闇を切り裂いた。 「何だ!」
「敵なのか!!」 星矢と瞬は光の元へと駈け出す。 一輝は沙織を連れている為、その後を追えない。 「フェニックス、君に逢えて良かった」
ダイダロスはそう言って笑みを浮かべた後、再び双児宮の入り口へと戻った。 一輝は何も言わずに、ゆっくりと奥へと歩き出す。 その黒い液体は不死鳥の聖衣に触れると、音を立てて消えた。
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