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迷宮 3

その頃星矢たちは、双児宮を通り抜けようとしていた。
だが、宮の中は一寸先が闇という状態だった。
「また、異空間へ繋がっているのか?」
星矢は思わず呟く。 彼らの脳裏に十二宮突破の時の記憶が蘇る。
「様子が違うみたいだ……」
瞬は辺りを見回す。
その時、ダイダロスがうめき声を漏らした。
「これは……」
何も無いと思っていたのだが、彼の聖衣のみ黒い液体が付きはじめたのである。
彼の白銀聖衣のみ輝きを失いつつあった。星矢たちの神聖衣にはそんなものは付いていない。
彼は瞬時に判断して、沙織を一輝に渡す。
「どうやら私は此処までのようだ。 三人とも先へ進んでくれ」
「ダイダロス先生!」
「瞬。ペガサス。フェニックス。
今は闘士としての名誉よりも、アテナが無事である事を最優先に考えるんだ」
ダイダロスがそう行った直後、双児宮の奥で青い光が闇を切り裂いた。
「何だ!」
「敵なのか!!」
星矢と瞬は光の元へと駈け出す。 一輝は沙織を連れている為、その後を追えない。
「フェニックス、君に逢えて良かった」
ダイダロスはそう言って笑みを浮かべた後、再び双児宮の入り口へと戻った。
一輝は何も言わずに、ゆっくりと奥へと歩き出す。
その黒い液体は不死鳥の聖衣に触れると、音を立てて消えた。


白銀聖闘士たちと星華は十二宮前に続く階段の下にいた。
絵梨衣はバベルが抱き抱えている。その身体からは神気のようなものはもう無い。
「女神様は大丈夫でしょうか?」
自分たちをここに留まらせて、エリスは依代から離れたのである。
星華が階段に近付こうとするのを魔鈴が止めた。
「今は待とう。 多分、あたし達じゃ役には立たない」
そしてアステリオンが言葉を続ける。
「やみくもに行動した所で足手まといになるだけだ。
だが、何も判らないのでは機を逃す。俺が様子を見に行こう」
そう言って彼は階段を昇る。
十二宮付近は異様な気配に包まれていた。
「……気をつけて下さい……」
星華の言葉に、アステリオンは複雑な表情をした。