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迷宮 2

閃光の後、黄金聖闘士たちは自分が生きている事に驚く。
そして自分たちとポリュデウケースとの間に、一人の闘士が立っている事に気がつく。
「あなたは……」
その人物とは海将軍の一人、スキュラのイオ。
「勝負の邪魔をして申し訳ない」
彼は素直に謝罪をする。その視線は敵対する男から逸らさない。
しかし、彼らはこの場に感じる緊張を感じて、返事が出来なかった。
ポリュデウケースの方も、それが何であるのか気がついたらしい。
『久しぶりだな。ポリュデウケース』
階段を上って、この場にポセイドンがやって来たのである。 彼のすぐ後ろにはソレントがついていた。
海将軍という人以上の力を持つのに、海皇と敵の邂逅という事態により発生する空間の緊張に、彼らも息苦しさを感じていた。

(ポセイドン様は、あいつの事を知っているのか!)
イオとソレントはポセイドンの言葉に表面では冷静さを保ちながら、心の中で驚いていた。
「海皇自らお出ましとは、思わぬ大物が掛かったな」
闇の闘士は冷たい笑みを浮かべる。
『ポリュデウケース。神の身でありながら、大地の女神たちに危害を加えようというのか』
ポセイドンは表情を変えないが、彼の周囲から水の流れが生じていた。
『ディオスクーロイと言えども、許されることではないぞ』
その言葉に、彼は思いっきり嫌悪を示す。
広場の床に赤い光が走り、魔方陣のようなものが現れた。
ポセイドンはその光を見て、自分の周囲の水の量を増やす。その額からは汗が流れはじめていた。
三人の黄金聖闘士たちも二人の海将軍も、この異常な空間の力に身動きが取れない。
「何なんだ、これは……」
シュラは膝をつく。山羊座の黄金聖衣がその身から金色の光を零している。
「この光の円陣が何かの作用をもたらしているのでしょう」
ムウは自分の力が上手く使えない理由を瞬時に理解した。
突飛ようしもない話だが、ポリュデウケースは長い時間をかけて聖域にこのような場所を幾つも作り上げたのかもしれない。
黄金聖闘士が行けなくても、教皇の地位ならば行く事の出来る場所が幾つかある。
スターヒルはその最たる場所だった。
ポリュデウケースはゆっくりと右手を前に出す。
ポセイドンはその場から動かない。
「誰に赦しを乞えというのだ」
彼がそう言った瞬間、二人の間に白い光が現れた。
その為に赤い光はその力を弱められ、円陣自体が崩れる。
まずは私に謝ってもらおうか。ポリュデウケース」
そこへエリスが透明な姿で現れた。