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迷宮 1

黒い靄が次々と沸き上がる聖域。そこに白羊宮から眩い光が放たれた。
その輝きは聖域中を照らす。
『拙いな』
エリスは十二宮の光を見て呟く。
『せっかく闘士たちを復活させたのに、これでは冥王を押さえられなくなる』
彼女は聖闘士と星華の存在を無視して、十二宮へと歩きはじめる。
「どちらへ行かれるのですか!」
咄嗟に星華がエリスの腕を掴む。
魔鈴や他の白銀聖闘士たちはエリスの力を警戒して、止めるのを躊躇っている。
明らかに自分たちでは敵わない何かを、エリスは醸しだしていたのである。
しかし、星華にはそんな事は判らない。
「危ないですよ」
必死に引き止める星華にエリスは薄く笑った。
『……守ってくれて、感謝する』
何か違和感を感じる言葉。
彼女の視線が自分ではなく、別の人を見ているかのように星華は感じたからだ。
『巻き込んで、すまなかったな』
エリスはそう言って星華の横を通り過ぎる。
慌てて彼女はエリスの後を追った。
「星華ちゃん!」
魔鈴の声に彼女は振り返る。
「魔鈴さん。私、星矢の事が心配なんです。 あの方と十二宮へ行きます」
星華はそのままエリスの後を付いて行く。
エリスは星華の方を見た後、驚くべき事に彼女の同行を許したらしい。二人は並んで十二宮へと向かう。
周囲では気を失っていた雑兵たちが、再び立ち上がろうとしていた。
魔鈴は拳を握った後、二人を後を追う。
「魔鈴!」
アステリオンが声をかける。
「あたしも行く。このままじゃ、全滅だ」
彼女の言葉に、その場にいた白銀聖闘士たちは顔を見合わせる。
「ここで消耗戦をやっても、仕方ない」
アステリオンがミスティの方を見る。
「ならば私が一気に雑魚を吹き飛ばす。
その隙をついてあの二人を抱えて、十二宮まで駆け抜けるんだ」
そう言ってミスティは、もう一人の白銀聖闘士の方を見る。
「良かろう」
ケンタウルス星座のバベルが頷いた。