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二人の戦闘は膠着状態に入り、睨み合いとなっていた。 同じような必殺技を持つゆえ、どちらもその技は使わない。 動きで見切られてしまうからだ。 (こんな時にデスマスクの言った意味が判るとは……) 今のサガに必殺技は時間稼ぎにしかならない。カノンはそんな気がした。 (本当に化け物なのか!) だが、ここで倒さなくては敵はアテナに害を成し、聖域を血に染める事は確実に思えた。 敵はどこか観察しているかのようにカノンを見ている。 (捕らえるのは不可能だ) そもそも、ここまで事態が進んでしまっては、エリスを味方につけた所で本当にサガを救えるのか判らない。 (サガ、後で謝りに行く) カノンが覚悟を決めた時、第三者がその闘いに割って入った。 「カノン。止めよ」 シオンが森の中から姿を見せる。 この時、黒い闘衣をまとう敵は初めて動揺した顔をする。 「よもや十三年後に、もう一度会えるとは考えもしなかったぞ」 シオンは余裕の笑みを浮かべる。 だが、相手は忌ま忌ましげにシオンを見ていた。 カノンとは随分対応が違う。 「あの時は油断したが、ここで決着をつけるか?」 教皇服を着た男の闘気は力に満ちている。 すると相手もまた、その口元に笑みを浮かべた。 「貴様が相手では分が悪いな。 もう少し遊んでも良かったが、ここら辺が潮時かもしれない。 あの小娘もやっかいだ」 「そう急くな。挨拶くらいさせろ」 シオンの言葉に彼の表情が変わる。 そして聖域の教皇は、いきなりスターダストレボリューションを使ったのである。 |