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危機 5

二人の戦闘は膠着状態に入り、睨み合いとなっていた。
同じような必殺技を持つゆえ、どちらもその技は使わない。 動きで見切られてしまうからだ。
(こんな時にデスマスクの言った意味が判るとは……)
今のサガに必殺技は時間稼ぎにしかならない。カノンはそんな気がした。
(本当に化け物なのか!)
だが、ここで倒さなくては敵はアテナに害を成し、聖域を血に染める事は確実に思えた。
敵はどこか観察しているかのようにカノンを見ている。
(捕らえるのは不可能だ)
そもそも、ここまで事態が進んでしまっては、エリスを味方につけた所で本当にサガを救えるのか判らない。
(サガ、後で謝りに行く)
カノンが覚悟を決めた時、第三者がその闘いに割って入った。
「カノン。止めよ」
シオンが森の中から姿を見せる。
この時、黒い闘衣をまとう敵は初めて動揺した顔をする。
「よもや十三年後に、もう一度会えるとは考えもしなかったぞ」
シオンは余裕の笑みを浮かべる。
だが、相手は忌ま忌ましげにシオンを見ていた。
カノンとは随分対応が違う。
「あの時は油断したが、ここで決着をつけるか?」
教皇服を着た男の闘気は力に満ちている。
すると相手もまた、その口元に笑みを浮かべた。
「貴様が相手では分が悪いな。 もう少し遊んでも良かったが、ここら辺が潮時かもしれない。
あの小娘もやっかいだ」
「そう急くな。挨拶くらいさせろ」
シオンの言葉に彼の表情が変わる。
そして聖域の教皇は、いきなりスターダストレボリューションを使ったのである。