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危機 4

紫龍が春麗を連れて家に辿り着くと、外にはシオンとオルフェが待っていた。
シオンは戦闘の行われている方向を見ている。
家の中から貴鬼が出てきた。
「春麗!大丈夫」
「貴鬼ちゃん」
春麗は紫龍から離れると、不安げに彼に尋ねた。
「精霊さんは?」
すると貴鬼は首を横に振った。
「まだなんだよ。今度はオイラが探す!」
その言葉に三人の聖闘士が反対する。
「今、カノンが戦闘状態だ。巻き込まれたら只では済まないぞ。
誰か探しているのか?」
紫龍に問い詰められて、春麗も貴鬼も黙ってしまう。 エウリュディケーは聖域に自分の事を知られたくなさそうだったので、彼女に関わる事は言わないでおこうと決めていたのだ。
しかし、ここで沈黙していては必要以上に疑われてしまい、エウリュディケーに迷惑がかかるような気がした。
春麗は覚悟を決めて、一言だけ告げる。
「女の人……。昨日、家に泊まっていたの……」
紫龍は驚いて貴鬼の方を見る。
しかし、その様子を見ていたシオンが春麗に近付いた。
「ならば、探すのを私も手伝おう。春麗は危ないから此処にいなさい。
童虎の弟子、お前はオルフェと一緒に、ここを守れ。春麗や家の中に避難させた少女に怪我をさせるな。
ついでに十三年前の元凶に挨拶をしてくる」
シオンはそう言って、その場から離れて森の中へと消えた。
この会話に何かを感じた貴鬼は、オルフェの方を見る。 既に彼は竪琴に弦を張り終えている。
「あの人は誰?」
あの自分の師匠に何処か似た雰囲気を持った男性は、自分を見て目を細めるだけ。
いきなりやって来て戦闘態勢になってしまったので、貴鬼は何が起こったのか把握出来ていない。
「あの方はご自分で名乗りたいと思っていますから、今しばらく待って下さい」
オルフェはそう言って笑った。
だが彼は直ぐに真顔になって、紫龍と不安げな春麗を見た。
(しかし、この様な所とユリティースに何の繋がりがあるんだ?)
カノンがユリティースを知っているらしいのも、オルフェには疑問だった。