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「貴様、邪魔をするのか」 しかし、アイザックは平然としている。 「もし氷河がそのような不埒な真似をしているのであれば、俺もお前に加勢しよう」 親友の酷いセリフに、今度は氷河が怒りを露にする。 「アイザック、言っていい事と悪い事があるぞ」 「何を言うか。 会った途端に攻撃されるという事は、お前に何かしら原因があるのではないのか?」 そう言われると、氷河も反論しにくい。 出会うきっかけは、ブルーグラードで起こったアレクサー自身の性急な行動が原因だが、氷河はそれを阻止している。 しかし、ここでアイザックにアレクサーの事を話すのは、彼の過去の罪状を告げる事に他ならない。 彼はそのような事を関係のない人間に言たくなかった。 「とにかく、俺達がここへ来たのはブルーグラードへ行く為じゃない。 だからナターシャとも会わない。 用事が済めば、そのまま直ぐに聖域に戻る!」 しかし、アレクサーは疑わしそうに氷河を見る。 「それでは、何でここに来たんだ」 その質問はもっともだが、信じてくれるかどうか怪しい理由である。 「……実は一人の女性を探している。 彼女は魂だけの存在となって、氷の世界の何処かにいる筈なんだ」 「ふざけるな!」 その瞬間、氷の大地に青い光が走った。 「噂に違わぬ熱い男だな」 アイザックの言葉に氷河は首を傾げる。 二人は一応、ブルーインパルスの攻撃を避ける事が出来た。 「アイザック。ブルーウォーリアのアレクサーを知っているのか?」 氷河の言葉に彼は薄く笑った。 「一応、噂に聞いている」 アレクサーはアイザックの方を見る。 「貴様は何者だ」 「自己紹介が遅れて申し訳ない。 俺は海皇ポセイドン様に仕える海将軍の一人、クラーケンのアイザックだ」 言葉は丁寧だが、その迫力にアレクサーは彼が嘘を言ってはいない事を悟った。 (こいつが海将軍か……) 海洋にその力を持つ海闘士の将軍達の事は、アレクサーも知らない訳ではない。 だが、ブルーウォーリアの中に彼らと遭ったという者はいなかった。 そしてアイザックの方もアレクサーの闘気を感じていた。 (以前、シードラゴンがブルーグラードへの侵攻を計画した時、ちょうど統治権が過激な息子の方に移った為に中止になったと聞く。 確かにこの男が相手では、厄介だったかもな) アイザックはこの奇妙な巡り合わせに、苦笑してしまった。 「どうしたんだ。アイザック」 「何でもない」 彼は氷河の問いかけに即答した。 |