☆ | ☆ |
しかし、ムウは首を横に振る。 「いいえ、私はここに居ます」 彼は自分の弟子に、これから起こるであろう事態は一過性の嵐と思って我慢して貰う事にした。 (春麗は紫龍が守るでしょうし、あの師匠とカノンだって子供じゃ無いんですから、貴鬼を露骨に困らせる事はしないでしょう) 何かズレた心配をするムウであった。 「では貴方たち四人はアルデバランと一緒にアテナの傍にお願いします。 彼一人では大変な事があるかもしれませんから……。 とにかくアテナから目を離さない様気をつけて下さい」 そう言ってムウは十二宮の方を向く。 「だそうだよ。兄さん」 「……」 一輝はこのままここを離れようかと思ったが、まだ身体の自由が利かないらしい星矢は、既に白羊宮へ向かっている。 彼は手を貸す事にした。 「すまない。一輝……」 「悪いと思うなら、早く身体を回復させろ」 実際、一輝の身体はかなり回復していた。 「ムウ、お前が残るとは思わなかったな」 デスマスクはからかうように言う。 四人の闘士を見送っていたムウは、デスマスクの方を向かずに返事をした。 「今は非常時です。ならば、非常手段をとる事も考えておくべきでしょう」 するとシュラが薄く笑った。 「そうだな。ヤツを仕留めるには、アテナエクスクラメーションを使う覚悟が必要だろう」 しかし、彼らには一つの不安があった。 (アイオロスはエリスに何かを期待していた。 多分この方法では、サガを救えないからだろう……) だが、今の彼らが女神の為に出来る事はそれだけだった。 |