再びエリスが、場を取り仕切る。
「今度は、エウリュディケーの番だ。
アテナは私の横に立て」
言われた通りに、沙織はエリスの横に立つ。
そしてエウリュディケーは彼女らの前で膝をついた。
エリスは預かっている杖を、前に出す。
「ヘカテ様からの伝言だ。よく聞け。
エウリュディケーに告ぐ。
女神の試練において審判役を果たしたが、少々不手際が見受けられる。
罰として、地上に残す事とする」
思わす、女神ヘカテの側近は顔を上げた。
エリスは言葉を続ける。
「何らかの災いがその身に降りかかろうとも、自らの力で乗り越えよ。
ただ、手を差し伸べるものが居るのならば、それはお前が自らの力で得たもの。
我は何の咎めもせぬ。以上」
伝言の内容に、沙織もまた驚いてしまう。
「エリス。今のは……?」
「エウリュディケーの傍に誰がいようとも、ヘカテ様は関知しないということだ」
「……」
エリスの笑みに、沙織もつられて笑った。
「それでは、私はもう一つ二つ、立ち寄る場所がある。
あとはお前たちで処理しろ」
エリスはそう言って、闇に溶け込むように姿を消したのだった。
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