「それか!」
彼は思わず大声を出してしまう。
今まで岩にある光が自分たちを閉じ込める為に存在すると、微塵にも思いつかなかったのが悔しい。
オルフェは石群に近づくと、竪琴を奏でた。
光は先程設置された像をも淡く輝かせる。
この様子に、美穂は目を丸くした。
「何で?」
彼女は思わず沙織に尋ねる。
すると沙織は、
「私たちには分からなかっただけで、装置の接続部分がちゃんと繋がったのではないですか」
と、簡単に答えた。
美穂は納得したのか、それ以上は何も言わなかった。
(この会話は何?)
テティスは美穂を呪術に関わらせない女神アテナの行動が分からない。
しかし、今度の呪術はオルフェでも簡単には解呪出来なかった。
聖域の時は呼吸するかのように竪琴の音色と光を同調させることが出来たが、今回は同調しきれない光が存在する。
「一人で全てをカバーされないように作られているのでしょう」
そう言ってソレントがフルートの用意をした。
「手伝いますよ」
そして竪琴とフルートの共演が再び行われたのだった。
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