編み目の細かい金色の鳥籠の中には、石で作られたかのような蛇の彫像があった。
ミーノスは籠を持ち上げて、彫像を観察する。
しかし、蛇に動くような気配はない。
「さっきの気配は気のせいでしょうか」
アイアコスからギガースたちに力を与えていた蛇だと言われたので、とにかく逃げられないように金の鳥籠に放り込んだのである。
心なしか蛇の彫像が、首を引いたようにも見える。
そんな反応を面白がっていると、アイアコスが部屋に入ってきた。
「ミーノス。蛇はどうした」
「こちらに置いてありますよ」
彼はそう言って、鳥籠を指さす。
「随分、豪華だな」
「一応、迷ったんですよ。
女神アテナが女怪メデューサ退治のおりにペルセウスに渡した袋の種類が特定できれば、それにしたのですが……」
その返事にアイアコスは腕を組んで、しばらく考え込む。
「それなら女神に直接尋ねるか」
「それが良いでしょう」
二人は仕方がないといった風に頷きあった。
だが、部屋の外で仕事の報告をしようとしていた彼らの部下は、上司が仕事から逃げようとしている事に気がついて真っ青になった。
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