いつ戻ってくるのか分からない人々を、女神ヘカテの神殿で待つ。
それは苦行よりも厳しく、聖闘士たちは負の意識がもたらす重圧に耐えていた。
そんな中、呪術の紋様を見張る組み合わせが微妙なものだと、さらに苦行は過酷さを増す。
この時、神殿内にいたのは星矢と邪武だった。
紋様には何の変化も見られなかった。
「なぁ、邪武……」
「……」
「美穂ちゃん、怒っているかなぁ」
邪武としては返事のしようがない質問である。
「そんなの知るか」
彼はぞんざいに言い棄てた。
しばらく会話が途切れた後、再び星矢が話しかける。
「……なぁ、邪武」
「何だよ」
「女の子って幼馴染みよりも、さっそうと現れた奴の方がいいのかなぁ」
邪武は急にジュリアン=ソロを思い出してしまった。
どう考えても自分では勝負にはならない。
星矢に質問されているはずなのに、邪武のほうが落ち込んでしまった。
「お前……、よりにもよって嫌な事を聞くな!」
腹立たしくなった彼が怒鳴った瞬間、外では雷の音が轟いたのだった。
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