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続・夜行 4

捜し物ゲームが終わったとばかりに、ニンフたちは自分のお気に入りの場所へと引き上げてしまう。
瞬は同じ部屋にヒュプノスとタナトスが居るという状況に立たされた。
『大騒ぎをした割には不甲斐ないな』
そう断言されたが、瞬は反論せずに子ライオンが見つかったことを喜ぶ事にした。
しかし、相変わらずタナトスは不機嫌そうだった。
『ところで何しに来た。 宴が終わったのなら帰るぞ』
その言葉に瞬は驚く。
このまま女神ヘカテが神殿に戻るからと地上に強制送還されたら、せっかくの手掛かりを失ってしまう。
しかし、ヒュプノスは首を横に振った。
『宴はまだ終わってはいない。
ただ、問題が発生した』
『問題だと?』
『キュベレー様がヘカテ様の所にカメレオン座の聖闘士が居ることに気付いた。
今、アテナに対して寄越せと言っている』

「えぇっ!」
いきなり姉弟子がらみの話を聞き、瞬は隣の部屋にニンフがいたら気付かれるのではないかと言うくらいの大声を出してしまう。
しかし、ヒュプノスが抱いている小さな獣は起きる気配を見せなかった。


誰も居ない神殿の奥を、瞬は静かに移動する。
タナトスもヒュプノスもジュネを連れ出せと言いながら、自分たちは女神ヘカテの神殿内部については知らないと断言した。
それでもタナトスは竪琴を弾くといってニンフたちを全員を別の場所に連れて行ってくれたし、ヒュプノスも瞬が禁忌の場所に近付くことだけは避ける手助けをするという。
だが彼女たちが気まぐれに動くことを考慮すると、瞬の自由に動ける時間は少ない。
とにかく瞬は問題の壁の前に立った。
(ニンフさんたちの反応をから考えてみると、別の場所へ行けるスイッチが近くにあるはずだ)
とにかく壁に触ってみようと思い手を伸ばす。
何度か押し達叩いたりして壁のようすを確認する。
それを繰り返しているうちに、ある壁の石が奥へと動く。
「!」
そのまま押し続けると問題の場所の壁が静かに横へと移動した。
「よし!」
覗いてみると下へと続く階段があった。
瞬はそのまま奥へと進む。
『あまり時間がかからなかったな』
ヒュプノスはそう呟くと、獣の子を抱き抱えたまま瞬の後に続いて階段を下りたのだった。