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招待 6

「ところでクラーケンは奴らが行くと、最初から判っていたのか?」
もしかすると再び地上に戻れるかどうか怪しい。
女神ニュクスの世界は人間にとってそういう場所である。
ミロの問いにアイザックは湖を見ならがら答えた。
「判ってはいません。
ただ、氷河もあの二人も迷わないと思いました」
もしかすると自分の知りたいことが女神ニュクスの所にあるかもしれない。
それは僅かな望みだったからこそ、彼らは手放せなかったのである。
「そうか……」
ミロはそれ以上何も言わなかった。

そんな静かな時間も、とある人物の怒りの声で終焉を迎える。

「ミロ! 今度は何をやった」
彼らの背後にはずぶ濡れの女性聖闘士が二人立っていた。
どう見ても先程まで水の中に居たかのようである。
「シャイナに魔鈴。なんでここにいるんだ?」
女神ヘカテの神殿で起こった出来事を知らないミロには、二人が居る事の方が驚きだった。
「もしかして湖を強制的に凍らせたから、循環していた場所が塞き止められて周囲が決壊したかな?」
バイアンが冷静に周辺の水脈に起こりうる出来事を分析した。
「それは大変だ」
アイアコスが棒読みのような言い方で、シャイナの怒りを煽る。
この場合、シャイナにとって腹立たしいのは、海将軍や冥界三巨頭の一人がいる事では無く、ミロが何も知らずにのんびりとしている事だった。
魔鈴に至っては、最初から止める気はさらさらない。
ゆえにミロはただでさえ状況が分からないのに、一方的に言われる羽目となった。
「とにかく蠍座は二人を聖域に連れて行ってください」
聖域の大混乱を多少なりとも見ているアイザックは、そう言って二人の間の不穏な空気を一旦は納めたのだった。