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続・親友 6

三人の女性聖闘士のうち、誰かを早急に見付けるか。
それとも次の世代の女性聖闘士を誕生させない限り、聖域は死なせる為に女神ヘスティアの神殿に聖闘士を派遣させなくてはならない。
反逆者であるポリュデウケースの方が失われた情報について詳しかったのは、皮肉としか言いようがなかった。
だが、サガ、デスマスク、シュラ、アフロディーテの四人は、それについて抗うことは出来ない。
それは己の存在理由の否定にほかならなかったからである。
長い間不在だった竈の女神の関係者が、今の時代には居るらしい。
それが、彼らを闇に近づける原因でもあった。

「いちいちそんな事をしていられないから、女神ヘスティアに関わろうとする組織は先手を打って壊滅させてきた」
デスマスクの言葉に紫龍は衝撃を受ける。
十二宮突破のおり、巨蟹宮の浮き出た死仮面の中には、欲に身を落としデスマスクに消された者もいたのだろうか。
紫龍はデスマスクの方を見たが、相手はその視線を受け流した。
(老師が春麗を助けることを見越していたら……)
しかし、蟹座の黄金聖闘士は自分自身のことに対して本当のことは言わないだろう。
それだけは、紫龍にも分かった。

「とにかく、ロクでもない組織が女神ヘスティアの神殿に近づかなければいい話だ。
探りを入れてくる」
デスマスクはそう言うと、部屋を出ようとした。
しかし、彼はその場で動きを止めた。
入り口には沙織が立っていたのである。
「女神アテナ……」
「銀河戦争ではヘスティア様に貸しがあります。
今回だけなら、向こうも乙女座とアンドロメダ座、カシオペア座に関しては略式扱いにしてくれる筈です」
沙織はそれだけを言うと、再び社殿の奥の部屋へと戻っていった 。
「略式?」
デスマスクはアフロディーテの方を見る。
「聖衣が女性型だから、女の聖闘士が護衛に来たという事にしてくれるという意味だろう」
銀河戦争の時、沙織が問題の人物とどのようなやりとりがあったのかは分からない。
だが、それは貴重な貸しだった。
ただし、ある意味聖域にいた聖闘士たちよりも、他の神殿の関係者の方が城戸沙織が女神アテナである事を早くから気付いていたという証明でもあって、彼らの心中はかなり複雑であった。

海底神殿に戻ったスキュラの海将軍は、クリシュナに書類の束を渡す。
「とにかく、ポセイドン様を見失うと再び探すのが一苦労だから、また聖域に行って来る」
「わかった」
「ところでリュムナデスには会ったが、シーホースは?」
自分が居ない間に海底神殿で何かあったのかと思い、イオは緊張した。
クリシュナは書類を見ながら、
「デスクィーン島周辺の海域に行っている」
と、答えた。
「あの島に何かあったのか?」
「海の生き物たちが、未だにあの島に近付かない。
小動物達は危険に対して敏感だ。
まだ、何か起こるかもしれない」
この時、クリシュナは一枚の書類に目を留める。
そこにはアイザックの字で、【デスクィーン島に行く可能性がある】と書いてあった。