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続・親友 3

聖域の海辺では、必要書類を受け取ってイオが海に戻ろうとした。
その時、彼らはある人物の気配に気が付く。

「ソレント。ここにいたんだ」
その穏やかな声に、屈強なはずの海将軍達は背筋に冷たいものを感じた。
「ジュリアン様!」
そこにいたのは手に荷物を持っている青年。
背後には琴座の白銀聖闘士が居た。
「いったい何処にいたのですか!」
ソレントは思わず大声を出したが、ジュリアンは首を傾げる。
「何処って、私は聖域にいたよ」
するとオルフェが一歩前に出た。
「どうも迷子になられていたようです。
こちらが立て込んでいたとはいえ、客人であるお二方には御迷惑をおかけしました。
深くお詫びいたします」
そういってオルフェに頭を下げられて、逆にソレントの方が慌てた。
カノンはその様子に眉をひそめる。

「それでは私は用事がありますので、失礼させていただきます」
そう言ってオルフェが立ち去ったので、ソレントはほっと胸をなで下ろす。
このメンバーの様子では、琴座の白銀聖闘士に自分が海将軍の一人であることがバレていると思って良い。
しかし、向こうは黙っていてくれたのである。
不意に彼は女神ヘカテの側近だった精霊を思い出した。
「……」
オルフェを見送るソレントに、ジュリアンが言葉を掛ける。
「しきたりとはい言え、芸術の女神達にソレントの音色を紹介出来ないとは残念だね」
何の話か分からず、ソレントはジュリアンの顔を見た。
「それは何の話ですか」
すると説明をしたのはアイザックだった。
「今夜、何処か特別な場所で太古の女神達の宴がある。
その時、さっきの聖闘士が琴を奏でるそうだ」
彼の言葉にジュリアンが頷く。
「私たちも色々とお世話になっているのだから、何かお手伝いをしたいね」
「えっ……」
ジュリアンの言葉をどう受けとって良いのか分からず、海将軍たちは沈黙してしまう。
その静寂を破ったのはカノンだった。
「セイレーンを動かしたいと思うなら、依頼よりも命令の方が良い」
海将軍としての名を出されソレントは慌てたが、ジュリアンは特に驚いていない。
むしろ、何か面白がっているような笑みを浮かべていた。