「何をやっているんだ」
第三者の声に二人は後ろを振り返る。
「シードラゴン!」
「何処で遊び呆けていたのですか!」
咄嗟に出たソレントの暴言に、カノンはやや不機嫌になった。
「こっちは聖域の要請で動いていた。
お前たちこそ、何故ここに居る」
するとソレントは、ジュリアンの身体に海皇の意識が無かった時の為に急いで聖域に来たと告げる。
しかし、アイザックは個人的事情というだけで、それ以上は何も言わない。
「それは重要な事なのか?」
カノンは腕を組んだ。
アイザックは海将軍の中では最年少だが、無茶なことをやるような人物ではない。
だが、仲間の問いに対し自らの行動について口を閉ざすというのも異例だった。
「我々に言えないことなのか」
「言えないというより、正確に説明が出来ない」
「寝ている間にとんでもない事態に巻き込まれたのか?」
筆頭将軍の言葉にアイザックは困惑してしまう。
冗談なのか、何かを知っているのか、相手の表情から読み取れないからだ。
そこへ今度は、海の方から別の人物の声が聞こえてきた。
「居た。居た」
スキュラの鱗衣をまとったイオが、手に鞄を持って海から瞬間移動で現れたのである。
「三人揃っていて、助かった」
状況の全然判っていない彼は、地上にいる仲間が一同に介していることを素直に喜んでいた。
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