社殿内に女神と黄金聖闘士たちが入ってきたので、ダイダロスは雑兵たちに軽傷の者は別の場所に移動するように伝えた。 そしてたまたま聖域内の様子を報告しに来たアステリオンに、ある事を依頼する。 彼は少し怪訝そうな表情になったが、断る理由も無いのでダイダロスの依頼を了承する。 (知識を得られるだろうか?) アステリオンが立ち去った後、ダイダロスは再び社殿の奥にある部屋に向かった。 別の場所では弟子の瞬が意識を失っている為、ベッドに寝かされている。 だが、彼は様子を見に行こうとはしなかった。 |
建物の中を埋めつくすかのような結晶は、数時間前まで黄金聖闘士の力ですら砕けなかったという説明が疑わしい程、カミュの手により簡単に砕かれた。 (……) 静かな人馬宮。 その一室で黒い布にくるまれた少女を見つけた時、カミュが真っ先に思ったのは間に合わなかったのではと言う事だった。 しかし、上体を抱き上げてみると、ただ眠っているらしく呼吸が規則正しい。 「レダは無事か」 いつの間にか来ていたアフロディーテの言葉に、アルデバランは首を傾げたが水瓶座の黄金聖闘士は頷いたのだった。 とにかくアルデバランに絵梨衣を連れていって貰う。 それを見送った後、カミュは壁により掛かったまま腹部を押さえた。 思ったよりも巨人族から受けた傷は回復しにくいものらしい。 「カミュも下に戻れ。 後の黄金宮は私が使えるようにしておこう」 そう言ってアフロディーテは床に置かれていた武器を手に取る。 カミュは魚座の黄金聖闘士をじっと見た。 「その後、何処へ行くつもりだ」 意外な言葉にアフロディーテは返事が出来ない。 「何の事だ」 「……いい。つまらない事を言ってすまなかった」 カミュは重い体を引きずりながら部屋を出ようとした。 アフロディーテが彼に肩を貸す。 「双魚宮にあるバラの様子が見たいから、明日までに傷を治しておけ」 その無茶苦茶な要求に、カミュは分かったと返事をした。 |
グラード財団に潜んでいた伏兵。 |
聖域の厳戒体制が解除される。 |