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続・緊迫 2

巨人の出現した五番目の暗黒宮では、アイオリアがガイオーン相手に一歩も引かない闘いを繰り広げていた。
既に春麗は他の冥闘士が代わりに連れ出し、ゴーレムの冥闘士もこの場から去っている。
ならば自分の力の全てを出して敵と戦うのみ。
アイオリアは拳に力を込めた。

「ライトニングボルト ──」


無数の光がガイオーンに襲いかかる。
巨人は背後に飛ばされ、建物の壁を破壊した。
しかし、地母神の子は尚も立ち上がったのだった。

星矢は目の前にいる黄金聖闘士の顔をまじまじと見る。
色々と言葉にしたい思いがあったのだが、実際に会ってみると何を言っていいのか分からない。
アイオロスはそんな状態の星矢に話しかけた。
「ペガサス。今からやる事をよく見ているんだ」
「はい!」
緊張のあまり、星矢の返事は声が少し裏返っていた。

「ヘラクレスの弓を出してくれ」
そう言われて、彼は慌てて布を解く。
他の闘士たちは何が起こるのかと思い見ていたが、瞬は周囲の様子を気にして落ち着かない様子だった。
「どうした? 瞬」
氷河に言われて彼は、自分が先に進んだ方が良いのではないかと答える。
「少なくとも先に周囲の状況を知っていれば、ヘラクレスの弓を守れるかもしれないだろ」
その言い方は、何となく気が急いでいるような様子だった。
だが、このような場所での単独行動は危険極まりない。
当然、他の青銅聖闘士たちは瞬に落ち着くよう言った。
「大丈夫だよ。僕は冷静だ」
その返事そのものが、何処か苛立っていた。
するとアイオロスが彼らの顔を見回しながら口を挟む。
「それならアンドロメダ。 先に次の宮へ行ってくれないか」
「えっ?」
「そこでシュラの様子を見てきてくれ。
彼が無事なら、そこでペガサスが来るのを待つ。
例えこちらに何かあっても、直ぐに戻ってこれるだろう」
瞬は彼の提案に頷くと、早速その場を離れようとした。
その時アイオロスが再び声をかけ、彼を呼び止める。
「アンドロメダ。
ただ一度のチャンスに身動きが取れない様な事になっていたら、永遠に願いは叶わない」
その場にいた全員がアイオロスの言葉に首を傾げたが、言った本人は再びヘラクレスの弓に視線を移していた。
「それはどういう意味ですか?」
瞬が詳しい事を尋ねようとしたが、アイオロスはただ笑って気をつけるよう言った。
「無茶をしないように言っただけだ。
深い意味はない」
「そうですか……」
何か釈然としないものを感じながらも、瞬はそれ以上尋ねなかった。

結局、“小鳥”を保護する為に先に行きたい冥闘士たちと瞬、そして紫龍が先に行くことになった。
アイオロスは彼らが居なくなった事を確認すると、自分の持っている射手座の弓を出す。
星矢はアイオロスが何をやろうとしているか、非常に興味があった。