星矢たちはシオンの姿を見た時、思わずギョッとした。 一瞬、彼の黒い闘衣が問題の防具に思えたからだ。 「それは本物ではないのですか!」 瞬の問いにシオンは平然と答える。 「それは私にも分からない。 だが、ムウからの連絡では、どれが本物かは女神にも分からないと言っているし、万が一巨人にまとわれては危険だ」 そう言って彼は腕を動かす。 闇色の武具は滑らかに動いた。 「ならば天秤座の剣で、叩き壊すか?」 童虎の言葉にシオンは頷いた。 「島の状況が変化しているから、この防具が足手まといになった時に使わせてもらう」 星矢たちは平然としている教皇を見て、彼のまとう闘衣は偽物なのかもと思い始めた。 何しろ先程闘った者たちのように、防具が人の体を浸食している様子が見当たらないのである。 「とにかく私については心配はいらぬ。 これでも長年、聖衣の修復をやっていたのだ。 危険だと思ったら外す」 専門家の意見なので、彼らは納得するしかない。 その時、ミューが瞬に近づいて小声何かを伝えた。 瞬は少しだけ驚きの表情をしたが直ぐに冷静さを取り戻すと、今度は他の青銅聖闘士の仲間に話しかける。 彼らは素早く相談を終わらせると、お互いに頷きあった。 |
「とにかく春麗は冥闘士に預けるしかあるまい。 私も一緒に動く」 |
長い間、兄を陥れた敵に対しては一矢を報いなくてはと思い続けた。 |
巨人ガイオーンは暗黒の世界で目的の存在を探す。 女神に挨拶代わりの先制攻撃を仕掛けてみた。 なるべく早く、闇の闘衣に組み込まれている戦闘情報を習得しよう。 次はどの闘衣の情報を得ようか。 もうすぐアルキュオネウスも動き出す。 その前に母神を恐れさせる娘を仕留めなくてはならない。 彼は闇の中をゆっくりと移動したのだった。 |