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「お前たち、ここで何をやっているんだ」 そこに立っていたのは海龍の海将軍カノン。 背後からテティスが駆けつける。 エスメラルダは自分の身に何が起こったのか分からず、茫然としたままカノンに担がれていた。 しかし、シャカは 「あぁ、ちょうどいい。そのまま担いでいてくれ」 と言って、再び歩きだす。 「こっちは急いでいる」 カノンとしてはシャカの言う事を聞く気はないが、何故か少女をこのままにする事も躊躇われた。 エスメラルダを助けた瞬間、脳裏に誰かの声が聞こえた所為かもしれない。 ただ、若い娘の声だとハッキリ分かったのだが、何て言ったのかが一瞬の事なので思い出せない。 「テティス。俺の事を呼んだか?」 彼は自分から少し離れて立っている人魚の海闘士に声をかけた。 テティスはその問いに頷いた。 「シードラゴン様と呼びました」 彼女の返事にカノンは首を傾げる。 やはり聞こえた声は、テティスのものとは違う。 「とにかく此処から離れるまでは大人しくしていてくれ」 そうエスメラルダに言うと、カノンはシャカの後に続いた。 貴鬼も一緒に歩きだす。 テティスはその光景を見て、 何か自分だけが除け者のような気がした。 エスメラルダという少女は、今でも自分を怖がっているかもしれない。 あまり近づかない方が良いかもしれない。 (……) 同性から怖がられる自分。 もしかして他の仲間達も自分を嫌っているのではないか。 そんな考えが過る。 (何で、そんな事を考えるのよ!) しかし、胸が締めつけられるかのような遣り切れなさは拭えなかった。 |
四名の青銅聖闘士たちの少し後をミューたち冥闘士が付いていく。 |