蝶はヒラヒラと闇の中を飛び続け、沙織と一緒に居たミーノスの元へやってきた。 |
沙織は目を閉じると深呼吸をする。 (ヘラクレスの弓は星矢に従ったのね……) 彼の守護をしている武神は、全ての者が味方するとまで言われた存在である。 その加護を得た星矢なら……。 そう考えながらも沙織は一抹の不安を感じていた。 最強と謳われる武神の力に星矢が飲み込まれはしないか。 (彼女が此処にいてくれたら……) それが意味のない願いだとしても、沙織はそんな事を考えてしまった。 |
親友との再会。 事情を知っている人間から見れば、やはりもう少し感動的な筈。 だが、こちらもその言葉には似つかわしくないモノだった。 同胞からの攻撃に、童虎本人よりも春麗達の方が驚いてしまう。 しかし、シオンは外野の存在を無視して親友を睨み付けた。 その迫力に周りの方が緊張する。 「若返りの薬を飲んだわりには、反射神経がジジイのままだな」 彼の言葉に童虎は腹を抑えながらも楽しそうに笑った。 「おぬしも同じらしいが、性格が昔よりも屈折したようだな」 その言葉にシオンの怒りは頂点に達してしまう。 「減らず口をたたくな」 その瞬間、七番目の暗黒宮内に星屑が煌めいたのだった。 |