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光の無い場所。深い闇。 今度は目を開けていても何も分からない。 春麗は滑り落ちた時に、自分が箱を手放してしまった事に気がついた。 それではこの状態は箱を開けてしまった為のものなのか。 もうこれで自分の役目は終わったのだろうか? (確認しないと!) もし間違えていたら老師を助ける事も出来ず、紫龍も困らせる事になってしまう。 とにかく彼女は箱を探す事にした。 |
アイオリアは巨人と天秤座の黄金聖闘士を交互に見た。 初めて見る巨人族と未だに目覚めない老師。 少女のことは魔鈴に任せる事に決めた。 とにかく自分の出来る事は、巨人族の動きを封じる事。 (老師を巻き込むかもしれないな……) 目の前の巨人はアイオリアの様子を見ながら、尚も光を取り込み続けていた。 |
「何処にあるの……」 春麗は光の無い場所で、自分が持っていた箱を探す。 手さぐりで見つけるしかないのだが、手から伝わるのは岩のゴツゴツした感触のみ。 (焦っちゃ駄目。 諦めちゃ駄目) それでも不安で泣きそうになった時、自分の斜め後ろで何かが光ったような気がした。 (もしかして!) 彼女が振り返って見てみると、暗い世界で煙のように揺らめく光があった。 それはしばらくして、あるものの形を作る。 「虎……?」 実物ではないが、その体格は立派で美しかった。 凛々しくも何処か優しい眼差しの虎は、前足を動かしていた。 (あっ!) そこにあるのは、自分が今まで探していた箱だった。 しかし蓋はしっかりと閉まっている。 「早く箱を!」 魔鈴の声に春麗は我に返る。 虎を形作っていたものは霧散し、小さな光が箱に降り注ぐ。 春麗は急いで箱を拾い上げた。 その時、彼女の手を払いのけるかのように、箱の蓋が勢い良く開いたのだった。 |
巨人ポイトスは女神の闘士よりも恐ろしいものが、大地の割れ目に居ると思った。 それが何なのかはハッキリとは分からない。 闘士の方は後でゆっくり相手をすれば良い。 彼は女神の闘士を始末する前に、問題の場所に手を伸ばす事にした。 |
アイオリアは巨人の動きを察知して、春麗と魔鈴を助けに向かう。 それはほぼ、同じタイミングだった。 |