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追跡者 6

光の無い場所。深い闇。
今度は目を開けていても何も分からない。
春麗は滑り落ちた時に、自分が箱を手放してしまった事に気がついた。
それではこの状態は箱を開けてしまった為のものなのか。
もうこれで自分の役目は終わったのだろうか?
(確認しないと!)
もし間違えていたら老師を助ける事も出来ず、紫龍も困らせる事になってしまう。
とにかく彼女は箱を探す事にした。

アイオリアは巨人と天秤座の黄金聖闘士を交互に見た。
初めて見る巨人族と未だに目覚めない老師。
少女のことは魔鈴に任せる事に決めた。
とにかく自分の出来る事は、巨人族の動きを封じる事。
(老師を巻き込むかもしれないな……)
目の前の巨人はアイオリアの様子を見ながら、尚も光を取り込み続けていた。

「何処にあるの……」
春麗は光の無い場所で、自分が持っていた箱を探す。
手さぐりで見つけるしかないのだが、手から伝わるのは岩のゴツゴツした感触のみ。
(焦っちゃ駄目。 諦めちゃ駄目)
それでも不安で泣きそうになった時、自分の斜め後ろで何かが光ったような気がした。
(もしかして!)
彼女が振り返って見てみると、暗い世界で煙のように揺らめく光があった。
それはしばらくして、あるものの形を作る。
「虎……?」
実物ではないが、その体格は立派で美しかった。
凛々しくも何処か優しい眼差しの虎は、前足を動かしていた。
(あっ!)
そこにあるのは、自分が今まで探していた箱だった。
しかし蓋はしっかりと閉まっている。

「早く箱を!」
魔鈴の声に春麗は我に返る。
虎を形作っていたものは霧散し、小さな光が箱に降り注ぐ。
春麗は急いで箱を拾い上げた。

その時、彼女の手を払いのけるかのように、箱の蓋が勢い良く開いたのだった。

巨人ポイトスは女神の闘士よりも恐ろしいものが、大地の割れ目に居ると思った。
それが何なのかはハッキリとは分からない。
闘士の方は後でゆっくり相手をすれば良い。
彼は女神の闘士を始末する前に、問題の場所に手を伸ばす事にした。

アイオリアは巨人の動きを察知して、春麗と魔鈴を助けに向かう。
それはほぼ、同じタイミングだった。