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続・同胞 4

地母神ガイアは島で発生した事態に悲鳴を上げる。
このままでは可愛い子供たちが全滅してしまう。

まさか、あの女神の力を得た者が現れるとは!

しかし、心の何処かで今の子供たちなら倒せるとも思えた。
何しろ呪術の力で満ちている島は、闘士たちにとって行動が制限されている場所と言っても良い。
自分がほんの少し手助けをすれば、子供たちは女神たちを滅ぼせる筈。
地母神ガイアは巨人族に力を与えることにしたのだった。

母神の支援の力を感じて、ポリュピュリオーンは自分の体内に力が漲るのを感じた。
これなら二柱の女神たちを滅ぼせる。
彼は強引に呪術の壁を突破した。

強固な要塞と化した光の柱の直ぐ横で、ポリュピュリオーンはその巨体を地上へと出現させたのだった。

地上に現れた異形の巨人。
神話の時代に名を馳せた存在は歓喜の雄叫びを上げた。
柱に近づくことが出来ない闘士たちは、その大きさに息をのむ。

(なんて大きさだ……)
星矢はじっと巨人の様子を見る。
ただでさえ呪術の影響で不安定な空間に、とてつもない敵が出現したのである。
光の柱に大きな亀裂が走った。
強風とも空間の歪みによる壁とも感じるものが、彼の周辺を取り囲む。
ペガサスの神聖衣が美しい翼を広げる。
そのお蔭なのか、星矢は目に見えない空間の流れに翻弄されずにいた。

ポリュピュリオーンは目の前にいる闘士を倒すべく、その大きな手を伸ばす。
彼は目の前にいる聖闘士を握りつぶして、終わりに出来ると思った。
だが、相手は素早い動きでポリュピュリオーンの手をすり抜ける。
彼はこのような闘い方に苛々してきた。
その為、いつの間にか光の柱を背にしていた事に気づかなかったのである。

「ペガサス彗星拳!」

星矢は渾身の一撃を巨人に叩き込む。
その威力にポリュピュリオーンは、亀裂の入った光の柱に吹き飛ばされた。
あり得ない出来事に巨人は小さな闘士を見た。
前回のギガントマキアのように、武神を侮ってはならないと言う事を彼は思い出した。
巨人の体が強く輝く。
彼の体を維持する呪術に、光の柱の力が流れ込んだのである。

この展開にポリュピュリオーンは愚かな闘士の行動を嘲笑った。
彼は直ぐさま母神に、トゥーリオスの二の舞にならないよう呪術を施してもらったのである。
だから自分が取り込まれる事は無い。
むしろ光の柱の力をこちらに取り込んで、もっと力を得ようと彼は考えた。

ポリュピュリオーンは光の柱に自らの体を入れる。
しかし彼が再び星矢の前に出現する事は無かった。
大量のエネルギーに対して、彼の体は自らの許容範囲を一瞬にして超えてしまったのである。
彼は何が起こったのか分からず、助けを呼ぶ事も出来なかった。
ところが、彼の体に施された呪術の中には柱の力に取り込まれない為に書かれたものがある。
これが精密機械のように作動している光の柱に影響を与え始めた。
それはまるで小さな異物のように、呪術の効果を阻害し始める。

しかし、星矢にはそのような事情など分からない。
彼は単に光の柱に出来た亀裂を、巨人の体を使ってでも塞ぎたかっただけなのだ。
ただ、巨人を飲み込んだ後、柱はみるみるうちに縮小をし始めたのだった。