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続々・庇護 7

ムウは闇の十二宮を見る。
此処はただでさえ上手く連絡が取れない戦場。
僅かにでも味方からの連絡が来ないか気をつけているのだが、自分の師匠からの連絡がピタリと来なくなった。場所が場所なので、師匠や春麗に何かあったのではないかと気になる。
そんな彼の元に、別の黄金聖闘士から小宇宙を介した連絡が入った。
こういう時に限って、獅子座の真っ直ぐな小宇宙が届くのは場所が良かったのだろうか。
そんな事を考えながらムウは沙織の方を向いた。
「アテナ。アイオリアが拘束場所から脱出したようです」
ムウの報告に、沙織は少しだけ表情を変えた。
そして直ぐさまアイオリアへの命令を出す。
「二人には春麗さんの方へ行くよう命じなさい」
「分かりました」
その時、生暖かい風が彼らの元に吹く。
(何かが来る!)
聖闘士たちは沙織を守るべく動く。
そして現れたのは、全身に呪文が書かれた巨人グラティオーン。
ところが彼は沙織ではなく、ヘラクレス座の白銀聖闘士アルゲティに手を伸ばした。

「うわああぁぁぁ」
いきなり身体を掴まれて、アルゲティは弓矢を落とす。
「グラティオーン!」
沙織は巨人が誰だか分かると、相手の目的を理解した。
グラティオーンにとって最も危険なのはヘラクレスの弓矢とその使い手。
だから黄金聖闘士がいると分かっていても、やって来たのだ。
「アルゲティ!」
シャイナは思わず叫んでしまう。
アルゲティは弓矢を拾えとシャイナに言うが、肝心の弓矢がシャイナを拒絶。
それに三人の黄金聖闘士の技は、グラティオーンの身体に書かれた呪術の紋様が強く光って吸収してしまうように見えた。
歓喜の声を上げる巨人。
そして彼が弓矢に視線を向けた時……。

「ネビュラチェーン!」

闇の中から二つの鎖が巨人の身体を締めつける。
冥王の力を保持したアンドロメダの神聖衣。
その鎖は巨人の身体を捕らえた。
グラティオーンは耐えきれずにアルゲティを地面に落とす。
そして身体を変化させて瞬の攻撃から逃れた。
しかし、瞬は其れを予測していたかのように、次の技を繰り出したのである。
「サンダーウェーブ」
それは敵が何処にいようとも必ず見つけ出し攻撃する技。
闇の中でもアンドロメダの鎖は的確にグラティオーンを追い詰める。
瞬は戦闘の長期化を避ける為、更に技をかけた。
「グレートキャプチュアー」
二本の鎖が巨人の身体を締め上げる。
しかもその鎖は冥王の隠れ兜の力を得ており、徐々にグラティオーンの身を構成している呪術に影響を与え始めた。
そして闇の中で轟音とも言える絶叫が響きわたる。
沙織はグラティオーンの断末魔を、表情も変えずに聞いていた。