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ポセイドンは鉾を持ち直す。 |
巨人は魔鈴に向かって突進してくる。 だが、彼女が巨人と拳を交える事は無かった。 背後に居た黄金の獅子が目覚めたからである。 「アイオリア!」 その黄金聖闘士は自分を背後から抱き寄せて、前に手を伸ばした。 巨人族の放つ気が彼の手の中で渦巻く。 小さな人間が巨人の攻撃を押さえ込んだのである。 アイオリアは動じる事なく、そのまま流れるような動きで魔鈴の前に出ると次の攻撃に移った。 「ライトニングプラズマ!」 幾億もの光が巨人の身体に打ち込まれる。 相手にとっては思った以上の反撃。 何故、一介の人間にこのような力があるのか。 巨人には理解出来なかった。 溢れんばかりの光が周囲を駆けめぐる。 岩を砕き、小さな爆発を繰り返しながら呪術の紋様を呑み込む。 巨人の身体は光に包まれた。 それっきり、先程まで空間に満ちていた巨人族の殺意ともいうべき意識は感じられなくなる。 しばらくしてエネルギーの放出のような現象が一段落つく。 二人の周りには巨人の気配もなければ、 あれほどまでに緻密に書かれた呪術の紋様も、大半が消えていた。 「あいつはいったい何なんだ……」 その時、彼は数少なくなった呪術の紋様を無意識に踏もうとして、魔鈴に薙ぎ倒される。 「魔鈴!」 「この光の模様は呪術で出来ているから踏むんじゃないよ」 そう言われて、アイオリアはようやっと周囲を見渡した。 |