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島に出現した光の柱。 それら四本のうちの三本が次々と消滅。 残りは星矢が調べに来た柱のみとなったのだが……。 「あの柱に近づけないぞ!」 最後の柱に到着したバレンタインたち冥闘士は、いきなり出現した太古の兵士の軍勢に手こずっていた。 相手は光の紋様から次々と湧き出すので、埒が明かない。 そして足元で光っていた紋様が次々と別のモノに変化する。 「これはどう言うことだ!」 仲間の怒りの声に答えたのは、バルロンの冥闘士ルネ。 彼は罪人を裁く役職を長く行っていたので、生前の人間が関わった呪術についての知識に長けていた。 「術者の性格にも因るが……。 柱が残りが一本になった事で、絶対に倒されないように防衛システムを起動させたのかもしれない」 最後の一本が消えれば、この島に張り巡らされた呪術は崩壊する。 だからこそ起動した大がかりな仕掛けを維持する為、幾重にも防御の呪術が施されていた。 「しかし、拙いな……」 亡霊のような兵士たちを倒しながら、ルネは眉を顰める。 「何がだ?」 バレンタインは返事をしながら、兵士に一撃を打ち込む。 とにかく次々と兵士が出現するのが鬱陶しい。 ルネは柱の方を見ながら返事をする。 「ここまで膨大な力が集中したとなると、今度は柱の倒し方が問題になる。 やり方を間違えれば、島の各地に出現している紋様からエネルギーが吹き出す恐れがあるからだ。 下手をすれば島は吹き飛ぶかもしれない」 しかし、彼らは如何に相手が攻略困難なものでも、冥界を脅かす力を消滅させ、大地の女神である冥妃たちに害を成す存在は滅ぼさなくてはならない。 「そして、最大の問題は……。 呪術をロクに知らない聖闘士が柱の傍に居るという事だ」 しかも、その聖闘士というのが、あの忌ま忌ましいペガサスであるという事実に、ルネもバレンタインも沈黙してしまった。 (面倒な事を仕出かしたら、今度こそ抹殺する) バレンタインの表情が、より険しくなった。 |
(あれが邪魔だな) 星矢は荒い呼吸を繰り返しながら、呪術で出来た柱を見る。 既にアキレウスとの闘いは長期化しており、星矢の防具はほとんど役目を果たしてはいない。 しかし、戦場となっている場所は非常にやっかいだった。 「うわっ」 足元に出現した呪術の光を、星矢は巧みに避ける。 アキレウスの攻撃も然る事ながら、この光を踏むたびに全身に激痛が走るのだ。 そして肝心のアキレウスの方はというと、平気で柱の周囲を動き回っているのである。 ただ、時々向こうの動きが奇怪しい時があった。 そしてその直後だと、アキレウスは数分間姿を隠すのである。 何が相手に起こっているのか星矢には分からない。 とにかく場所を移動しようとした時、彼に耳に地鳴りのような音が聞こえてきた。 「な、何ぃ!」 突然、光の柱が細かく震え始める。 そして地面に書かれた紋様が次々と光を上に伸ばす。 星矢はその光に不用意に触れてしまい、電撃のような痺れを食らってしまった。 |